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吉本興業“二刀流”アメとムチ! 知られざる「高齢お笑い芸人」の厚遇

吉本興業のアメとムチとは
吉本興業のアメとムチとは (C)週刊実話Web

吉本興業による反体制派お笑い芸人の〝粛清〟がジワジワ始まっている。

この3月、吉本興業が『極楽とんぼ』の加藤浩次とエージェント契約を更新しないことが公表された。加藤はMCを務める『スッキリ』(日本テレビ系)でこの話題に触れ、「吉本興業さんの方から契約を延長しないと言われて、ちょっと僕もビックリしている」「僕は続けたかった部分もあったんですけど」と驚きを口にした。

「加藤の口ぶりからも、吉本側が加藤を切ったということは間違いない。吉本はいよいよ、現体制を批判した芸人の粛清に本腰を入れ始めたようですね」(スポーツ紙記者)

加藤といえば、2019年の闇営業問題で「会長、社長の経営陣が代わらなければ俺が辞める」と生放送でタンカを切り、吉本のドン・大﨑洋会長と直談判。結果、吉本初のエージェント契約を結んでいた。

「エージェント契約は自分が発案したと得意気に明かしていたように、交渉は加藤側に有利な結果と見られていました。今回、まさか吉本から切られるとは、思ってもいなかったでしょうね」(夕刊紙記者)

世間から注目を浴びた『加藤の乱』は、2年も経たずに鎮圧されてしまったというわけだ。

吉本が切り捨てにかかっているのは加藤だけではない。先の闇営業騒動以降、ユーチューバーとして生計を立てている『雨上がり決死隊』の宮迫博之はもちろんのこと、ここ数カ月だけでも『オリエンタルラジオ』の中田敦彦と藤森慎吾、『キングコング』の西野亮廣といったお笑いタレントが相次いで吉本を辞めているのは周知の通り。

一見、西野や中田のような新世代のタレントが吉本に見切りをつけて独立したように見えるが、裏事情を知る業界関係者はそう考えていない。

反旗を翻した芸人たちを決して許さない…

「吉本は現経営陣に批判的な芸人たちを抱え続けるデメリットを考慮して、『この条件がのめなければ、もうお前はいらん』と最後通牒を突き付けたんです。穴埋めができる若手はいくらでもいますし、これ以上好き勝手にされては、所属する他の芸人たちにも示しがつきませんからね」(吉本関係者)

吉本の体質はこれまで様々な場面で指摘されてきた。中でも、頻繁に笑いのネタにされているように、彼らの不満を突き詰めればギャラの取り分に尽きる。

「確かに、他事務所に比べれば、吉本芸人のギャラは格段に安く抑えられている。これは単に吉本がガメツイというだけではなく、その収益構造にも原因がある。吉本は無名の若手から大ベテランまで含めれば、総勢6000人くらいの芸人を抱えています。そのうち芸人で食べているのはごく一部だけ。売れっ子芸人の収益だけで会社を回していくためには、必然的に会社の取り分も多くなっているんです」(同・関係者)

会社ぐるみで売り出した芸人がようやく利益をもたらすようになった途端、独立してしまうのでは吉本の商売は成り立たない。

「だからこそ、会社に反旗を翻した芸人たちを決して許さないでしょう。闇営業問題の際、吉本の幹部はしきりに『ファミリー』というワードを口にしていましたが、いったいどこのマフィアかと思いましたからね」(前出のスポーツ紙記者)

裏切り者は許さないという厳しいムチの一方で、吉本は甘~いアメもたっぷり用意している。明石家さんまが「劇場があったり、先輩のバーターがあったり、チャンスはやたら多いんですよ」と語っているように、様々なメリットを享受することができる。

また、一定の年齢を超えたベテランに対する好待遇は意外と知られていない。

70歳就業法の“お手本”のような会社

「吉本は若いうちのギャラは安いのですが、年を取っても仕事を斡旋して面倒を見てくれるし、特別な売れっ子でなくても十分なギャラが払われるんです。公にはされていませんが、高齢者芸人が舞台に上がると通常の倍は払われると聞いています。それだけ高齢者芸人を大切にしているんです」(前出の吉本関係者)

吉本新喜劇では85歳の桑原和男を筆頭に、78歳のチャーリー浜、77歳の池乃めだかといった高齢芸人が現役で舞台に立っている。さらに、吉本の特別顧問でもある笑福亭仁鶴や桂文枝といった大御所落語家を含めれば、「約40名ほどの高齢者芸人が現役ですよ」(同)というからスゴイ。

こうした高齢芸人が主戦場にしているのが、吉本が抱える劇場。大阪の『なんばグランド花月』をはじめとして、17の劇場を運営している。基本的にはその時々で客を呼べる芸人がメインとなる実力主義の世界だが、そこには伝統的な吉本新喜劇が組み込まれ、高齢者芸人も随時出演できる舞台が用意されているのだ。

「代表的な芸人が〝アホの坂田〟こと坂田利夫です。現在79歳ですが、吉本のレジェンド芸人の1人として舞台に映画、ドラマ、CMと八面六臂の活躍です」(在阪のテレビ関係者)

折しも、4月1日から『改正高年齢者雇用安定法』(70歳就業法)が施行される。希望する社員が70歳までは働けるようにする努力義務が企業側に課せられることになった。

「芸能界では、お笑い王国の吉本がいち早く高齢者芸人の働き方改革を実施していたことになります」(元女性誌記者)

吉本を離れた芸人たちはどんな道を進むことになるのか。今後、注意深く見ておく必要がありそうだ。

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