野田佳彦元首相が狙う“二匹目のドジョウ”蓮舫氏「都知事選」全面支援で存在感を示せるか
立憲民主党の蓮舫参院議員が、東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)に出馬を表明。小池百合子都知事との〝女傑対決〟が、次期衆院選にも影響を及ぼすことは必至とみられている。
蓮舫氏が勝てば、立民は政権交代に向けて弾みがつく。逆に小池氏が3選を果たせば、その勢いを駆って岸田文雄首相が衆院解散を断行する可能性があるからだ。
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5月27日、トレードマークの白いスーツを身にまとい、立憲民主党本部に現れた蓮舫氏は、小池氏を自民党とワンセットに扱い、徹底的にこき下ろした。
「自民党政治の延命に手を貸す小池都政をリセットする」
「(学歴詐称疑惑を報じた)文藝春秋を読ませていただいた。高い信憑性があるんじゃないかな」
「『7つのゼロ』公約、どこにいったのか。介護離職、残業、満員電車…。どれもゼロになっていない」
この前日に投開票が行われた静岡県知事選では立憲民主党の推薦候補が当選。目黒区の都議補選(欠員2)でも、立民元職と無所属候補が小池氏支援の自民党候補に勝利している。
蓮舫氏はこれらの結果を踏まえ、最終的に都知事選出馬を決断したのである。
全国紙政治部記者が言う。
「小池氏は4月の目黒区長選、衆院東京15区補選、都議補選で応援した候補が敗れ、3連敗中。蓮舫氏は落ち目の今なら互角に戦えると判断したのです」
JX通信社が行った調査では、小池都政の「継続が望ましい」と答えたのは24%、「交代した方がよい」は42%に上っている。
蓮舫氏は、立憲民主党が長年温存し続けてきた都知事選候補の切り札。そのカードをここで切ったということは、本気で政権交代を狙っていることの証とも言える。
全国紙政治部デスクが解説する。
「次期衆院選が年内に行われるのは確実です。先の衆院補選で3戦全勝するなど乗りに乗っている立民は、この流れを途切れさせないようにするため、小池氏と戦っても勝負できる人物を擁立する必要があった。その人物こそが蓮舫氏だったというわけです。このため、たとえ負けても小池氏に肉薄すれば、立民として蓮舫氏を擁立した成果はあると考えているようです」
実際、小池氏は過去2回の知事選で291万票(2016年)、366万票(20年)を獲得して圧勝。これに対して、蓮舫氏は10年の参院選東京選挙区で171万票、16年は112万票を取りトップ当選したものの、22年は67万票と4位だった。
この数字を見る限り、落ち目とはいえ小池氏は、蓮舫氏が簡単に勝てる相手ではなさそうだ。
「仮に都知事選で敗北した場合、蓮舫氏は次期衆院選の東京26区(目黒区、大田区西部)に鞍替え出馬するとの見方が強い」(同)
立憲民主党は同区に候補者を立てず、蓮舫氏のために空席にしているとされる。この「都知事選に蓮舫出馬」の戦略は、二段構えとなっているのだ。
立民内で高まる野田氏「待望論」
知事選では、蓮舫氏が所属する党内グループ「花斉会」を率いる野田佳彦元首相が頻繁に入ることが予想されている。野田氏は都知事選を通じて露出を高め、9月に行われる党代表選に出馬する方向で検討しているという。
「党内では、次期衆院選が政権奪取を懸けた戦いになるなら、首相経験者の野田氏が代表でなければ自民と互角には戦えないとの声が強い。『野田首相』が再び誕生する可能性も大いにあるというわけです」(ベテラン議員)
対する泉健太代表は、早くも苦戦が予想されている。
「先の衆院補選で3戦全勝したとはいえ、『次期代表選の出馬に必要な推薦人20人を集めるのも難しいのではないか』と漏らす党幹部もいるほどです」(同)
一方、自公両党は自民党の裏金事件を受け、政治資金規正法改正案を今国会でさっさと成立させ、6月23日の会期末をもって予定通り国会を閉じたい考え。
特に公明党は、支持率低迷中の岸田首相で解散したくないと考えており、閉会することで早期解散を封じたい思惑がある。
「後に行われる自民党総裁選でトップを代え、新顔で解散というシナリオを描いているはずです」(公明党関係者)
もっとも、岸田首相にとっては総裁交代という事態は是が非でも避けたいところ。そのため、小池氏が都知事3選を果たせば、翌日にも解散するのではないかとささやかれている。
「解散は国会開会中に行うのが原則ですが、憲法には解散時期について定めた規定はなく、理論上、閉会中でも解散は可能です」(前出・政治部記者)
ちなみに、都知事選翌日の7月8日は安倍晋三元首相の命日で、三回忌にあたる。
岸田首相の念頭にあるのは、安倍路線の継続を訴え、保守票を結集させる戦略といわれている。
これが断行された場合、「7月23日公示、8月4日投開票」となる可能性が高いという。
自民党関係者がこう語る。
「9月末の任期満了に伴う自民党総裁選で、石破茂元幹事長が出馬する可能性は濃厚です。ただ、このままでは岸田首相の形勢が不利になりかねないため、都知事選で小池氏を支援し、当選したらその流れで解散を断行。総選挙で与党の過半数維持という実績を作り、総裁選を乗り切りたいのが首相の本音なのです」
もちろん、岸田首相が支援したくても、裏金事件が尾を引く自民党の支援を小池氏が拒否する可能性も十分にある。
しかし、政権与党が首都決戦で何もしないわけにはいかず、断られても押し売りよろしく水面下で支援することになるだろう。
この大政局を、永田町関係者らが固唾をのんで見守っている。
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