蝶野正洋 (C)週刊実話Web
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蝶野正洋が喝!タクシー会社の参入もあり?救急車“7700円で有料化”制度の是非は…

三重県松阪市は、一部の病院で緊急搬送された患者が軽症で入院しなかった場合に、7700円を徴収するという救急車の有料化制度を始めた。


これによって医療アクセスの不平等が生まれたり、救急車を呼びにくくなるという意見もある。だけど、俺は7700円がそれほど高いとは思わない。


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救急車は呼んでから現場に来るまで、平均で8~10分、そこから病院に到着するまで約40分ほどかかる。


近くに受け入れ可能な病院がなかった場合、近隣の市町村まで高速道路に乗ってでも搬送してくれる。


これがタクシーや民間の救急搬送業者だったら、7700円以内に収まらないだろう。


近年、救急車の需要は増すばかりで、現場は逼迫している。


足りないなら増やせばいいと思うけど、「高規格救急車(通常の救急車に比べ車内が広く、さまざまな医療資器材が積載された車両)」は車体だけで1台1000万円を超えるし、乗り込む救急隊員も不足している。


有料化は軽症者の利用を抑制する狙いもある。


ウチの近くに、毎週のように救急車を呼んでいるご家庭がある。


もちろん重症だったり、移動が困難な高齢者の方がいるなど事情があるのだろう。ただ、全国にはそうでないケースも多い。


それに救急車を呼ぶ前に、まずは「救急安心センター」に連絡して、指示を仰ぐのが大事だ。


専用の電話相談窓口(#7119)にダイヤルすれば、救急車が必要かどうかに加え、病院の手配もしてくれるんだよ。

医療業界の厳しい規制もあるが…

これを発展させて、タクシー会社と提携して、距離に関係なく定額料金で病院まで運んでくれるようなシステムがあってもいいかもね。

一部の業者に対する利益供与にならないように、配送や物流系の会社、一部で運用が始まったライドシェア(一般ドライバーが自家用車で乗客を運ぶ有償サービス)業者などが参入してもいい。


ただ、それを阻むのが医療業界の厳しい規制だ。


病人を搬送するとなると、ドライバーに対して専門的な知識や資格が求められるし、車両も決められた規格に沿わないとダメとかね。


AED(自動体外式除細動器)も昔はそうだったんだよ。


以前は街で倒れている人がいたら、一般人はなるべく触れないで救急車を呼ぶというのが常識で、AEDのような装置があっても、医療従事者しか扱ってはいけない規則があった。


でも、ただ待っていたら、救える命も救えなくなる。


それにAEDの機械が進化して、誰でも簡単に取り扱えるようになったことで規制緩和が進み、2004年7月から誰でも使用できるようになった。


この事例が、病人の搬送においても応用できるんじゃないかな。


それに、今は救急医療のネットワーク化が進んでいる。


例えば心臓の持病が悪化した急患がいたら、近辺の病院で心臓の専門医の出勤状況や受け入れの可否など、リアルタイムで確認できるようになっている。


この情報を搬送業者が共有できれば、どの病院に運ぶかも適宜、判断できるようになる。


命を預かるだけに、非常にセンシティブで難しい問題だとは思う。


だけど、自助・共助といった考え方を活かしつつ、よりよい医療システムを構築するためにも、検討していくべき課題だね。
蝶野正洋 1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。