将棋棋士に魅せられたカメラマンがつづるベストセラーの続編『絆 棋士たち 師弟の物語』
2024.06.10
エンタメ
野澤亘伸(のざわ・ひろのぶ) 1968年、栃木県生まれ。上智大学法学部卒。93年より『FLASH』専属カメラマンとして、事件、芸能、スポーツなどを担当。フリーとして海外取材、タレントグラビアなど幅広く活動し、人物としての将棋棋士に魅せられる。【関連】中山秀征“生放送”で大失敗!渡辺正行がテレビの中から「ヒデはどこにいますか?」「早く来いよ!」ほか
――2018年に上梓した『師弟 棋士たち魂の伝承』は、ベストセラーになりました。本書はその続編という位置づけになるのでしょうか?
野澤 『師弟』の続編シリーズとして『将棋世界』誌に不定期連載したものになります。21年にマイナビ出版から書籍化されたものを、今回新潮文庫で出していただくことになり、修正を加えました。将棋界では若手実力者のタイトル保持や段位が頻繁に変わるので、連載時、最初の書籍化、文庫化で肩書を何度も修正しました。それだけこの3~4年間で将棋界の実力地図が大きく変化し、若い世代が台頭したことを感じます。文庫版には、その後のいくつかのエピソードを「文庫版あとがき」として収めました。
――師弟愛を見事に描いていると話題です。特に印象的だった師弟を教えて下さい。
野澤 特に印象に残ったのは中田功八段・佐藤天彦九段、畠山鎮八段・斎藤慎太郎八段でしょうか。中田八段はその師が故・大山康晴十五世名人で、弟子の佐藤九段も名人を3期獲得しました。自身はタイトルには縁がなかったですが、「私は師匠が名人、弟子が名人ですから」と話す言葉に、棋士としてタイトルに憧れた思いが滲んでいる気がしました。畠山八段は斎藤八段を厳しく、そして我が子のように愛情を込めて育てました。二人三脚で歩んだ師弟が、プロの公式戦で対決するシーンには、勝負の世界の厳しさを感じずにはいられません。中田八段、畠山八段は〝昭和の棋士〟の空気感を残した、味のある勝負師だと思います。
棋士たちの素顔をつづったルポ
――掲載写真も見応えがあります。シャッターチャンスの見極めは、どのようにしているのでしょうか?野澤 対局のシーンは撮影が許可される時間が非常に短いため、集中して一気に撮ります。ポートレートに関しては、棋士はポーズを求められての撮影は苦手なので、なるべく演出感を出さずに自然体になってもらうことを心がけました。真剣な表情を引き出すときには、対局中の心理を思い出してもらうようにしています。
――今後、取材をしてみたい師弟はいますか?
野澤 井上慶太九段・菅井竜也八段です。井上九段は昭和世代の棋士で、デビュー当時からの活躍を知っています。菅井八段は、昨年から今年にかけて藤井聡太八冠と2度のタイトル戦を戦ったトップ棋士の一人です。男気に溢れ、勝負に臨む気迫に魅せられます。とても絆の深い師弟ですので、ぜひお話を伺ってみたいと思っています。
(聞き手/程原ケン)
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