蝶野正洋 (C)週刊実話Web 
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武藤敬司、蝶野正洋、橋本真也さんの『闘魂三銃士』再び? 企業の新人育成に喝!

新年度が始まって2カ月がたったけど、すでに会社を辞めてしまった新入社員の話をよく聞く。


退職代行業者からいきなり会社に連絡が来て、そのままフェードアウトするケースもあるようだ。


キャリアも人生経験もそこまで多くない若者が、たった1カ月でその環境が自分に合っているかどうか、判断できるとは思えない。


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会社側からしてみれば、求人広告を出して、書類選考や面接などに人と時間を使い、なんだかんだで1人雇うのに100万円くらいの費用が掛かっているんだから、もう少し我慢してほしい気持ちになるよ。


すぐに辞められると、これがすべて無駄になってしまうから、中小企業なんかは新卒採用なんてやってられない。


だから人材派遣会社や転職エージェントに頼るんだけど、こうしたサービスで入ってきた人材も、腰が据わっていないヤツが多いからあんまり定着しない。


実際、知り合いの経営者と話していると、最近は人材の獲得はもちろん、長く勤務してもらうことが本当に難しいと言っている。


なので会社としては、新入社員にいかに辞めさせないようにするかを第一に考えてしまう。


嫌なことをさせなかったり、簡単なことをやらせたり…悪く言えば甘やかしてしまうから新人は成長しないし、会社の売り上げも伸びないという悪循環に陥ってしまうんだよ。

「助け合いながら競争して成長していった」

俺が新日本プロレスに入門した頃は、まったくの逆だった。

新人にあらゆる負荷をかけて、いかに早く辞めさせるかというシステムだったんだよ。


俺らの同期では1人ぐらいだったけど、その翌年はかなりの数の練習生が夜逃げしていった。


まぁ、そのときの先輩連中のタチが悪くて、俺から見ても、よくこんな理不尽なシゴキに耐えられるなと思ったくらいだ。


あれはプロレスラーになりたいという夢をしっかり持っているか、行き場所がなく切羽詰まっているようなヤツじゃないと持たないよ。


ただ、今どき組織の中で我慢を重ねて、一つずつ上り詰めていこうというタイプは少ない。


そこまで向上心のある人間は、会社になんて入らないで自分で起業するだろうね。


新人育成は3人チームがセオリーで、1人がまとめ役で残りの2人に競争させるんだが、最近の若い世代は競争したがらない。


みんなで手をつなぎ、一緒にゴールしたほうがいいという価値観だったりする。なので、同じ3人組でも「闘魂三銃士」のような関係がいいかもしれない。


闘魂三銃士は、自分たちで話し合って組んだユニットではなくて、会社から勝手に決められただけだから、お互いに仲間という意識はあまりなくて、それぞれが個人で好きにやっていた。


ただ、誰かが前に出ると、あとの2人はバックに回ったり、自然と役割分担ができていた。


武藤(敬司)さんがチャンピオンのときは、俺と橋本(真也)選手がそれぞれ自分の戦いを追求しているし、俺がケガで休んでいたときは、2人が前に出て頑張ってくれたりね。


トライアングルが常にキープされているから、うまく助け合いながら競争して成長していった。


この三銃士の関係性をマニュアル化して、新人育成の経営コンサルタントを始めるのも悪くないかもしれないな。
蝶野正洋 1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。