(画像)yamasan0708/Shutterstock
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「退職代行業」でトラブルが続出“慰留ハラスメント”も横行

近年、GWや夏休み明けに「退職代行サービス」を利用する人が増えている。


仕事にミスマッチを感じた新入社員、過重労働やハラスメントに疲弊したベテラン社員が長期休暇を機に退職を決意。手続きを専門業者に依頼するケースが増えているのだ。


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「退職代行とは、退職希望者からの依頼で勤務先に退職の意思を通告する仲介サービスです。料金相場が2〜5万円と安く、参入障壁も低いことから、ここ数年で全国に100社以上も増加しています」(都内の法律事務所に所属する弁護士)


しかし、トラブルも続出しているという。


「中には割増料金で退職代行を請け負う弁護士事務所もあるが、SNSで集客し、代金だけ持ち逃げする詐欺業者も多い。退職代行を依頼したつもりが勤務先には何の連絡もいっておらず、結局、無断欠勤で懲戒処分になったケースもあるようです」(同)

「転職先に悪評を吹聴する」と恫喝

また、民間の退職代行業者の中には業務の引き継ぎや有休消化、未払い賃金の要求を会社側に行うところもあるが…。

「これらは本来、弁護士にしか行えない業務であるため、逆に勤務先から訴えられて退職がこじれるケースも出ている」(同)


こうした専門業者が活況を呈し始めた背景には、わが国の経済界が抱える問題が影を落としているという。


「ご存じの通り、わが国には中小零細企業が多く、今や人手不足に陥りながら仕事を回している会社が大半。こうした職場で退職の意向を伝えると、〝慰留ハラスメント〟に遭うこともあるんです」(同)


たとえば、「後任が決まるまで辞めさせない」と言われたり、「転職先に悪評を吹聴する」と恫喝されるケースまであるようだ。


「失業保険の受け取りなどに必要な『離職票』を送付しないといった嫌がらせもあり、退職手続きを業者に頼む風潮が高まっているのです」(同)


もっと外国人労働者を受け入れるなど、人手不足を解消しなければ根本的な問題の解決にはならない。