
NHK大河ドラマ『青天を衝け』の放送がスタートしたが、主人公・渋沢栄一の生涯のライバルといわれたのが岩崎弥太郎。三菱グループの創業者だ。
その岩崎をはじめ歴史上の偉人たちが、どのような勉強術で成功をつかんだかを列挙した1冊が、『日本史に学ぶ成功者たちの勉強法』(クロスメディア・パブリッシング発行/インプレス発売/1380円+税)。本誌連載『偉人の逝き方』を執筆している歴史家・作家、加来耕三氏の最新刊である。
山田方谷(幕末~維新の財政家)から昭和を代表する経営者・本田宗一郎と松下幸之助。また、戦国時代の軍師として知られる竹中半兵衛、直江兼続。徳川家康のブレーンだった本多正信。師匠と弟子という関係から勉強法を導くため、勝海舟と坂本龍馬、吉田松陰と高杉晋作。多士済々の豪華ラインナップである。
閉塞的な今を打破するためにも読んでおきたい1冊
いずれも大きな危機に瀕したり、または挫折を経験している。岩崎弥太郎は奉行者に反抗し投獄された経験がある。山田方谷は幕末、官軍・幕府のどちらにつくかの決断に迫られ、幕府の要職にあった藩主に背くという苦渋の選択をした。
そうした時、「何を、どう学んできたか」が活きる。前記の人々は、学び続ける姿勢を実践してきたからこそ、時代の変化やリスクに即座に適応する能力を持っていたと、筆者は力説する。
コロナ禍という困難な時代を生き抜くヒントがあるかもしれない。先人に学ぶこともあるだろう。閉塞的な今を打破するためにも、読んでおきたい1冊だ。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)