『いばらない生き方 テレビタレントの仕事術』中山秀征 
『いばらない生き方 テレビタレントの仕事術』中山秀征 

中山秀征“生放送”で大失敗!渡辺正行がテレビの中から「ヒデはどこにいますか?」「早く来いよ!」

『いばらない生き方 テレビタレントの仕事術』新潮社/1500円
中山秀征(なかやま・ひでゆき) 1967年生まれ。群馬県出身。テレビタレント。14歳でデビューして以来40年以上にわたり、バラエティー番組や情報番組の司会、俳優、歌手として活躍している。
――今やすっかり名MCぶりが板についていますが、初めてMCを担当したときは、どんな気持ちでしたか?【関連】『うちの父が運転をやめません』著者:垣谷美雨~話題の1冊☆著者インタビュー ほか

中山 最初はMCのことをよく理解していませんでした。私たちの時代は話を聞くより聞かれる側がスターのイメージでしたから…。『DAISUKI!』がスタートした25歳の頃から、だんだんと自分らしいやり方を見つけていったような気がします。共演者の松本明子さん、飯島直子さんというまったく違うキャラクターのお二人に鍛えられ、右往左往することも私らしいMCの形になったのかもしれませんね。


――これまで担当した番組で一番の「失敗」はなんですか?


中山 20代前半の頃、『OH!エルくらぶ』という朝の生放送番組で、渡辺正行さん、鈴木杏樹さんと3人でMCをしていました。ある朝、目が覚めてテレビをつけると番組が始まっていました。テレビの中から渡辺さんに「ヒデはどこにいますか?」「早く来いよ!」と呼びかけられ、冷や汗をかきましたね。結局、放送には間に合わず、自分の出演番組を家で見ていました(笑)。

明るくポジティブなMC人生論

――憧れの「先輩」からも技術とマインドを学んだとか。

中山 志村けんさんからは「いつまでもバカでいろよ」と言われました。この世界に長くいると、いろいろなことを覚えて利口そうに見せたくなりますが、「勘違いするなよ」という意味だったと思います。思い返せば確かに大きい番組のMCなどが増えてきた頃でしたね。バカでいることは本当に大切だと思います。萩本欽一さんからは「君の何がすごいか分かったよ」「富士山の前で喋っていても山より君を見るよ」なんてもったいないお言葉をいただきました。萩本さんの番組はスタジオでセットを組む際、後ろに目が行かないように作っていたそうです。私は自由気ままにロケをすることが多く、私を面白く思って気を使ってくださったようです。


――近年は若者のテレビ離れが進んでいますが、そうした現象も含め、テレビの未来をどのように考えていますか?


中山 テレビに出演している私が「テレビはつまらなくなった」とか「やれることがなくなった」と言うわけにはいきません。私のテレビでの夢は、音楽トーク番組やコントなど作り込んだバラエティー番組がやりたいですね。これこそがテレビ!と言えるような、子供の頃に憧れたキラキラするテレビ番組を必ず作りたいと思っています。バカでいるかぎり!


(聞き手/程原ケン)