テレビ東京 (C)週刊実話Web
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『アド街』が社会問題を提起?近年急増の“排除ベンチ”に出演者が苦言「椅子があった方がいいんだよ」

各地域のディープなスポットを紹介する『出没!アド街ック天国』(テレビ東京)で、出演者たちが社会問題にやんわりと斬り込むような場面があった。


5月18日、番組は東京都江東区・清澄白河駅周辺のスポットを紹介し、第6位に深川資料館通り商店街がランクインした。


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VTRでは「下町の情緒が濃厚な商店街」として、人気の店舗が多数取り上げられていく。


さらに、商店街そのものの特徴として、「この商店街のあちらこちらで見かけるのが、かわいい縁台。商店街の人たちが手作りした、およそ20の縁台で、誰もがひと休みできるのです」とナレーションで紹介された。


テロップでも「縁台のある人情商店街」と表記され、実際に座って休憩する老人も映り、縁台がベンチとして休憩や食べ歩きに活用されていると強調される。


これを作っているのは地元の人々で、設置は商店街のご厚意ということもあり、清澄白河をよく訪れるという『たんぽぽ』川村エミコは「いいですねぇ~」とつぶやいた。


すると、MCの井ノ原快彦は、「何か最近、都心とか行くと、座らないように椅子とかが…」と、こうしたベンチが街や公園から消えていっていることに言及。


川村が「ないですよね」と同意すると、「なくなったり、寝ないように、ギザギザしてたりとか」とさらに続け、レギュラーの山田五郎も「背もたれがないとかね!」と指摘する。


深川出身のゲスト・寺島進は、「逆にああいう椅子とかあった方がいいよね」とさらに突っ込んだ意見を展開。


「今、地べたに座っちゃってる観光客も多いじゃない?」「逆に椅子があった方がいいんだよ」と、地元の取り組みを高く評価しているようだった。

SNSで話題になってデザイナー・議員が改善に動いたケースも

出演者が一様に共感し合ったこの現象は排除アート、意地悪ベンチなどと呼ばれ、近年、社会問題になっている。


「ここ最近、公園や公共の場、駅前や商業施設のベンチで、背もたれのないデザインやシートが湾曲したデザイン、突起や仕切りをつけたものが急速に普及している。これは、コロナ禍での路上飲みや、ホームレスが睡眠に用いることを防止するためだと言われています。しかし、これらは休みづらさやホームレスの人権問題の観点から、多くの批判を招いているのです」(地方紙記者)


今年3月には、新宿区の公園で、シートが反り返ったようなデザインのベンチがSNS上で物議を醸したことがあった。


子どもや高齢者がひっくり返るおそれがあるといったほか、あえて寝そべることができないようなデザインにしていると批判を集め、ホームレス支援団体の自立生活サポートセンター・もやいは《このようなベンチを設置することが、ホームレスの人への排除的メッセージになったり、圧力になることを懸念しています》とコメントした。


こうした声を受け、政治やデザイナー自身の力により、こうしたデザインが改善される動きまで広がっている。


「昨年9月、平塚市議の江口友子議員が、JR平塚駅前に設置された排除ベンチの改善を設置者である市に働きかけ、仕切りの撤去に成功したことが話題になりました。21年にも、東京都中央区・京橋に設置された突起ベンチが物議を醸し、デザイナーの田中元子氏自ら《最後の最後まで、いじわる突起に抵抗しました》とXで告白。市民も賛同して7月には突起が撤去、バリアフリーなデザインへと生まれ変わりました」(同・記者)


公園のベンチがなくなったり、利用しづらいデザインになれば、昼休みに弁当を食べることも、気分が悪くなった時にひと休みすることもできない。


税金を支払った国民に、公共の設備で還元することは、市民に対する行政の義務とも言えるだろう。


江口議員はベンチの仕切り撤去後、「商店街にゆったりと座ることができるベンチを増やせば、人も集まり、お金も落ちる」などと語っている。


『アド街』で紹介された商店街に縁台を置く取り組みは、まさにお手本とするべきかもしれない。