和久井学(SNSより) 
和久井学(SNSより) 

「いっそ太客とは寝た方がいいのかな…」新宿タワマン殺人におびえるキャバ嬢たちの本音

元ナンバー1キャバ嬢で元ガールズバー経営者の25歳女性が、東京・西新宿のタワーマンション前で51歳の男にメッタ刺しにされ殺害された事件を受け、夜の街に激震が走っている。


客だった男は、結婚を視野に巨額を〝支援〟したとされるが、女性側は「ストーカー被害」として警察に報告。関係がこじれた末の凄惨な事態となった。


【関連】「家に帰ったら客が部屋に…」戦慄のストーカー被害【風俗嬢の恐怖体験②】 ほか

実は、水商売をめぐる同様の男女トラブルは新型コロナ禍で急増し、似たような事案が多くくすぶっているという。


その実例を紹介する前に、まずは5月8日未明に起こった事件を振り返る。


被害者の平沢俊乃さん(25)が、西新宿の約60階建て自宅タワーマンション敷地内で、待ち伏せしていた川崎市の自称配達業・和久井学容疑者(51)にマンション1階のコンビニを出たところを襲われ、首や背中など全身数十カ所を果物ナイフで刺され死亡した。


「和久井容疑者は果物ナイフを2本所持しており、警視庁に殺人未遂容疑で現行犯逮捕され、翌日、殺人容疑で送検。都会のど真ん中で起きた衝撃的事件に、ショックが広がりました」(全国紙社会部記者)


平沢さんのSNSなどによると、18歳の頃から東京・銀座のキャバクラで働き、ナンバー1に。女優並みの美貌とモデル並みのスレンダーボディーを持ち、『平明日香』の源氏名で有名になったという。


その後、若くして東京・上野界隈でガールズバーを開店。2021年12月には別のキャバクラをオープンするなど経営者としての手腕も発揮していた。


「和久井容疑者は約4年前、ガールズバーで客として平沢さんと知り合ったとされ、キャバクラの開店時には『和久井』名で花を出したほど。当初、仲の良い常連客とママの関係でしたが、次第に和久井容疑者は『結婚する』と言い出し、暴走モードに突入したようです」(同)


趣味で集めた貴重なバイクや車を売却して金を工面し、「店を応援するため1000万円以上渡した。お金を返してもらうつもりだった」などと供述している。


しかし、平沢さんは執拗に店で言い寄ってくる和久井容疑者をストーカーとして恐怖を感じるようになり、警視庁に相談。和久井容疑者は警視庁から注意を受けた後も待ち伏せなどをしたため、22年5月、ストーカー規制法違反容疑で逮捕されている。


「1000万円超の金」をめぐっても、双方の見解が食い違っていた。


和久井容疑者は「1000万円以上の金を返してもらうため自宅に行った」と供述しているが、平沢さんは警視庁に「店の料金の前払いとして受け取った」という趣旨の、異なる見解を話していたという。


バイクや車を売っただけでは足らず、消費者金融で約700万円も借金していた和久井容疑者。一方的に募らせた怨恨が爆発し、凶行に及んだのか。


「次第に和久井容疑者が結婚や男女の関係を求めるような言動を始め、平沢さんがそれをかわし続ける中で、一方的に恋愛感情を過熱させたようです。ストーカー被害に悩んだ平沢さんはキャバクラを休業する日が増え、23年1月ごろには閉店に追い込まれています」(民放局デスク)

「俺、彼氏だよね?」

こうしたケースは昔から聞く話だが、コロナ禍で繁華街がダメージを受けた20年ごろから、同様の深刻なストーカー事案が水面下で頻発しているようだ。

関係者の間では〝連鎖〟を危惧する声も出始めている。


「コロナ禍で客足が激減した頃から、キャバ嬢らは数少ない金払いのいい客を手放さず、徹底的に高いお金を使ってもらって稼ぐ傾向が強まりました」と説明するのは、都内のキャバクラ店の幹部である。


「当然、〝色恋営業〟と呼ばれる、客に恋愛感情を抱かせ勘違いさせて高い酒を出させるテクニックを用いることも増えた。その結果、一部の客は本気で結婚や交際ができると思い始めてしまったんです」(同)


いわゆる〝頂き女子〟に近いような営業でコロナ禍を耐えようとした嬢たちだったが、それがストーカー客を大量に生んでしまったというのだ。


「彼女たちが逃げたり関係を切ると『今まで使った金返せ』とブチ切れ、店で待ち伏せしたりSNSで個人情報をさらしたり、自宅で襲撃するなどの行為に及ぶようになるのです。最近、こういった被害に悩んでいる嬢がすごく増えており、正直、いつ今回のような事件が起きてもおかしくないと思っていたところでした」(同)


こうした事案においては、「肉体関係の有無」も難しいポイントだ。自身も被害に遭った東京・新宿歌舞伎町のキャバ嬢A子さん(24)が本誌に心境を証言してくれた。


「私も新規客が減っていた21年に40代の会社経営者の太客をつかみ、ひと月に100万円くらい使ってくれました。1回もベッドインしてないのに次第に『俺、彼氏だよね?』と念押しするようになってきたんです。『いつかそうなれるといいね』とごまかしていたんですが…」


その客が態度を豹変させたのは、ある一言だった。


「今度は『いつ結婚する?』と言い出したから、やんわり断ったんです。そしたら連日、脅迫LINEが来るようになって。ブロックしたら、店の前で待ち伏せされ『金返せ、殺すぞ』と脅され、警察を呼びました」(同)


仕方なく店を移籍し、難を逃れたA子さんは〝対策〟を打つことに。


「新しい店では、50代会社員の太客を見つけ、今度は早い段階で同伴時にホテルに行ったりしてみたのです。すると、性欲面が解消されているからか、しつこく迫られることもなく、来てほしいときだけ店に来てくれるし、割り切った安全な関係を作れています。客と寝た方がいいのか、寝ない方がいいのか、今でも正解が分かりません」


平沢さんは、4月16日にX(旧ツイッター)を開設したばかりだった。


その翌日、「人生ってまじでここぞって時があるけど 前もって教えてくれよ」などとつぶやいていたが、皮肉にも約半月後に悲劇が襲うことになろうとは想像もしなかったに違いない。