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蝶野正洋『黒の履歴書』~34年ぶりの円安は大恐慌の予兆か

蝶野正洋
蝶野正洋 (C)週刊実話Web

ここ数年の為替市場は、円安が続いている。

特に最近は加速しており、対ドルでは34年ぶりの水準に落ち込み、一時は160円台にまで達した。

ゴールデンウイーク中に海外旅行をした人は、何もかもが高く感じてしまったんじゃないかな。

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妻のマルティーナも1週間ほど故郷のドイツに帰省していたんだけど、旅費が100万円ぐらいかかっていた。

そんなに贅沢はしていないし、普通にエコノミークラスで往復した程度なんだけど、円安のうえに現地の物価も上がっているから、ちょっと前と比べても、かなり割高になっているみたいなんだよ。

俺が初めてプロレスラーとして海外に長期滞在した1987年ごろは、1ドル144円くらいだった。

このときは俺がまだそれほど稼げていなかったけど、そんなに金がかかった記憶はない。

ヨーロッパで武者修行してアメリカで定期的に試合ができるようになると、週500ドルくらいのギャラをもらえるようになったんだけど、家賃250ドルのアパートに住み、食事はスーパーで約5ドルで売っていた鶏むね肉の塊(8ピース)を買って自分で料理していたから、週100ドルもあれば十分に生活ができたんだよ。

世界的な大恐慌が訪れるかもしれない…?

そのあと、アメリカに長期滞在したのは、97~98年にWCWという団体のリングに上がっていた頃だね。

その頃は俺も出世してそれなりのギャラをもらっていたから、それをそのままドルで持っていれば今になって円安で儲かったと思うんだけど、当時は貯金してなかったんだよ(笑)。

アトランタ(ジョージア州の州都)で家を借りて、日本で住んでいた所もそのままにしていたから、いわば2拠点生活。それで頻繁に日本とアメリカを行ったりきたりしていたから移動費もかかったし、何かと出費も多かったからプラマイゼロみたいなものだった。

最近は円安だからと海外に出稼ぎに行くという人が多いらしいけど、場所によっては生活費が予想以上にかかって、お金を貯めるのは大変なのかもしれない。

だったらインバウンド消費を見込んで、日本で外国人観光客向けのビジネスをしたほうが稼げるかもしれない。

そもそも今回の円安は、日米の金利差が原因といわれている。だけど、俺はそれだけじゃないと思う。

日本だけでなく世界的に経済が乱れているし、俺はいつどこで大恐慌が起きてもおかしくないんじゃないかと考えている。

景気が悪くなると移民問題も表面化するし、各地で紛争が勃発して、やがて大きな戦争の引き金となるというのが、今までの歴史だよ。その流れと似てきている感じがするんだよね。

そのあたりをバランスよく解決できるリーダーがいてくれればいいんだけど、日本の政治家はダメだろうし、世界を見渡しても期待できる人物がいない。

アメリカでは、次期大統領選挙の有力候補で前大統領のドナルド・トランプさんが、そういった役割を求められているのか国民から支持を集めているようだけど、かなり危険な賭けだよ。

でも、その危なそうなほうにグッと傾いてしまうのがアメリカなんだけどね。

世界的な大恐慌が訪れるかもしれないことを考えると、円安の影響で海外旅行が割高になるくらいで済んでいる現状は、まだマシかもしれないね。

蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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