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俳優、歌手・木村拓哉「俺、芭蕉派じゃないから」~物議を醸した『あの一言』大放言うらおもて~
4月にスタートしたテレビ朝日の開局65周年記念ドラマ『Believe-君にかける橋-』に主演している木村拓哉。本作における「大手ゼネコンで部長を務める土木設計家」という役柄は、これまでの木村からすると少々地味だが、今年11月で52歳になることを思えば年相応なのか。
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昨年来、旧ジャニーズ事務所の騒動で周囲がザワつく中、相変わらず引っ張りだこのようである。
社会現象となった1996年の主演ドラマ『ロングバケーション』(フジテレビ系)が初回と最終回で30%超の高視聴率を記録すると、それ以降も同じフジテレビの月曜夜9時のドラマ枠、いわゆる「月9」で次々とヒットを飛ばした。
97年のドラマ『ラブジェネレーション』(フジテレビ系)において、ヒロイン役の松たか子に向けて発した「ちょ、待てよ」のセリフは、木村にとっては不本意かもしれないが、ものまね芸人のホリなどが繰り返し使ったこともあって、今ではすっかり「キムタクの面白フレーズ」として定着している。
俳優としての木村については、映画監督の山田洋次やテレビプロデューサーの久世光彦、脚本家の三谷幸喜といった面々が、その演技力を絶賛している。
だが、一方で視聴者からは、ワンパターン演技に対する否定的な意見も聞かれる。この「演技力への評価」と「どんな役でも同じ演技」という見方は、まるで相反するようだが、よくよく考えればそうとも言えない。
例えば「個性派俳優」と呼ばれる人たちは、常に当人の個性を際立たせた演技をすることで称賛を得ている。
そして木村も「個性が際立っている」という意味では「個性派俳優」と言ってもよさそうだが、しかし、そう呼ぶにしてはルックスが整いすぎている。
そのため、本質的には個性派であるにもかかわらず、正統派の枠に入れられてしまい「〝ちょ、待てよ〟だけの大根役者」などと貶められるのは、木村にとって実に不幸なことなのだ。
「いつ、いかなるときもキムタクはキムタク」という姿勢は、テレビのバラエティー番組でも同じである。
2007年の『FNS27時間テレビ』(フジテレビ系)内で企画が組まれたクイズ番組『ネプリーグ』に出演した際、松尾芭蕉の有名な俳句「古池や 蛙飛び込む ○○○○○」の空欄を5人で1文字ずつ当てる穴埋め問題で、「みずのおと」の「み」と答えるべきところを思いっきり「い」と誤答。だが、木村は不正解を恥じる様子もなく「いけのおとだと思った」「俺、芭蕉派じゃないから」と言ってのけた。
言葉の真意は「芭蕉のことは知らないが、ほかの俳人なら知っている」ということなのだろうが、それが言い訳や負け惜しみなのか、あるいは冗談のつもりなのか、周囲からはどうにも読み取れなかった。
“有吉にキレた”都市伝説
10年に放送された『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)では、当時、著名人にあだ名をつける芸で再ブレイク中だった有吉弘行が、木村に対して「月9バカ」と命名した。これを聞いた木村はすかさず有吉の尻をヒザで蹴り上げると、肩を抱いてカメラのフレームから外れ、その後は「ボカスカ」と殴っているような効果音が流された。
後日、木村は自身のラジオ番組で、このときのことを「キレてはいない」「ただの演出」と話しており、実際にもそうだったに違いない。
しかし、いまだにこの一件について、「キムタクが有吉の失礼なあだ名にキレた」と都市伝説的に語られてしまうのは、視聴者の間に「キムタクはイジってはいけない存在」という共通認識があるからだろう。
SNSでも、やはり木村は特別だ。23年9月7日、旧ジャニーズ事務所がジャニー喜多川氏による性加害を認めて謝罪した後、木村は自撮り写真に「show must go on!」とだけ添えてインスタグラムに投稿した。
この英語のフレーズはもともと演劇界の用語で、「いったん幕が開けば何があっても舞台を続けなければならない」という意味である。
では、木村は何を続けたかったのか。「醜聞に負けず芸能活動を続ける」「謝罪と賠償を続ける」のどちらにも取れそうだが、その投稿の意図を考えるよりも先に、得意げな木村の顔写真が目に入ってきてしまう。
そのせいで「会社が大変なときに何を気取っているんだ」と批判にさらされてしまったのだから、これもまた存在感が強すぎることの弊害だろう。
しかし、その半面でコミカルに振る舞っても、明石家さんまとぶっちゃけトークをしても、決して木村の価値が下がることはない。
つまり「いつ、いかなるときもキムタクはキムタク」という事実が、不世出の大スターであることの証しなのである。
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