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GW中も巨大地震に警戒せよ!地震活動が活発化した日本列島に逃げ場はない

ManuMata
(画像)ManuMata/Shutterstock

まさに、今年は地震の〝当たり年〟と言える。

去年の1〜4月まではたった1回だった震度5弱以上の揺れが、今年はすでに23回も起きている(4月21日現在)。

なんと、約5日に1度は日本のどこかで大きな地震が発生している計算なのだ。

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「地震学者は『特別なことではない』と言うが、1〜2カ月の間に震度5弱の地震が頻発していることは、地震活動の活発化を感じさせる。中でも北海道に甚大な被害をもたらす千島海溝地震は、周期的にみてもそろそろ発生が危ぶまれ、気が抜けない状態なのです」

こう語るのは防災ジャーナリストの渡辺実氏だ。

地震調査委員会が想定するM8.8以上の千島海溝地震の今後30年以内の発生確率は7〜40%で、「切迫性が高い」と評価されている。

その理由は、千島海溝周辺では300数十年間隔でM9クラスの超巨大地震が起きており、前回の発生が17世紀だったからだ。

科学ライターが補足する。

「千島海溝地震は、その名の通り太平洋プレートが千島海溝から陸側の北米プレートの下に沈み込み、限界までたわんで跳ね返ることで発生する。通常はM7程度の地震が発生し、これが呼び水となってM9クラスの超巨大地震が起きることが多いが、地震調査委員会は、何の前触れもなく超巨大地震が発生することも想定しているのです」

同地震が発生すれば、未曽有の被害に見舞われることは必至。最大の懸念は、この地震が他のエリアにも波及しそうなことだ。

「実は、千島海溝に連なる日本海溝には東日本大震災(M9.0)の割れ残りが存在する。そのため、千島海溝で巨大地震が起きた場合には激しい揺れが日本海溝の断層まで破壊し、時間差で同程度の地震が起きる可能性がある。三陸を再び惨禍が襲うことにもなりかねないのです」(地震研究家)

この地震研究家が指摘する通り、日本海溝には2011年に起きた東日本大震災の割れ残りが北と南側に存在する。

中でも岩手県沖に広がる北側のひずみには相当な地震エネルギーがたまっているとみられ、ここが割れれば推定M7.9の大地震が発生。東北や北海道に津波が押し寄せ、岩手県宮古市で最大30メートル、北海道釧路市やえりも町でもこれに近い大津波が襲来する危険性が高いという。

武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏が言う。

「東北地方にお住まいの方には酷な話だが、地震学者の間では発生から13年が経つ東日本大震災は、いまだ終わっていないとの見方が強い。割れ残りが存在し、いつ再発してもおかしくない状況だからです」

事実、このエリアは震災後も不気味な揺れを繰り返し、今年4月2日にも岩手県北部でM6.1、最大震度5弱の地震が発生した。

そのため、東北沿岸部では警戒感が強まっているが、割れ残りのひずみの解放に加え、さらに恐ろしい事態も危惧されているのである。

前出の渡辺氏が言う。

「それが『アウターライズ地震』の発生です。これは海溝に沈み込んだプレートが跳ね返って起きる地震と違い、海溝のはるか外側のプレート内で起きる地震。具体的には引っ張られたプレートがちぎれて発生するが、東日本大震災のようなM9クラスの地震後には必ず起きている。震源域が陸から遠いため体感震度は小さいが、沖で発生した大きな津波が襲い掛かるのです」

この地震の最も顕著な例は、1933年に起きた昭和三陸地震(M8.1)だろう。明治三陸地震(1896年=M8.2)のアウターライズ地震といわれる同地震は、岩手県東方沖200キロの地点で発生。陸地での最大震度は5だったが、約30分後に大津波が到達したという。

「津波は6回も押し寄せました。第2波が最も大きく、岩手県大船渡市で28.7メートルの高さを記録した。死者と行方不明者は合わせて3064人にのぼり、甚大な被害をもたらしたのです」(科学誌編集者)

南海トラフ被害は日本全域

一方、東北沖以上に被害が大きいとみられているのが、千葉・房総半島沖を震源とする大地震だ。

前述の通り、ここには東日本大震災の南側の割れ残りが存在する。

同エリアでは、2月下旬から3月中旬にかけて地震が頻発。1923年に起きた関東大震災(M7.9)のような首都直下地震の発生も危ぶまれているという。

科学ライターが続ける。

「房総沖は陸側の北米プレートの下に南側からフィリピン海プレートが沈み込んでいる。群発地震の起きた地域では『スロースリップ』が確認されている。これは海溝に沈み込んだプレートが一気に戻るのではなく、ゆっくり戻っていく現象で大きな揺れを感じることはないが、ひずみが集中し、巨大地震の引き金となる可能性も高いのです」

実際、この現象は東日本大震災の際にも注目されたことがある。

本震の2日前に起きたM7.3の地震後にスロースリップが発生し、本震の破壊開始点に向かって移動していったことが分かっている。

要は、「スロースリップが破壊を促進させた」(同)とみられているのだ。

また、首都直下地震の発生材料としては、神奈川や東京湾の地震活動も注目されている。

「4年ほど前、三浦半島では異臭騒ぎが発生した。横浜市が調査したところ、地中深くの岩盤が擦れ合うときに発生するガスだということが判明した。また、1月28日には東京湾を震源とするM4.8の地震も起きており、首都直下地震の発生が懸念されているのです」(前出・地震研究家)

不気味な動きが日本各地にある中で、現在、最も発生が危ぶまれているのは南海トラフ巨大地震と言えるだろう。

地震学者の間には「台湾で大地震が起きると、日本も地震に見舞われる」との言い伝えがあるらしいが、4月3日に台湾花蓮県で起きた巨大地震(M7.7)の5日後には、これを裏付けるかのように鹿児島県大隅半島沖でM5.1、震度5弱の地震が発生。さらに同17日には愛媛県沿岸の豊後水道を震源とするM6.6、最大震度6弱の地震が発生している。

地震研究家がこう語る。

「気象庁は豊後水道の地震について『南海トラフ地震とはメカニズムが違う』『巨大地震が起きる可能性が急激に高まったわけではない』との見解を述べているが、震源域はまさに南海トラフ地震の想定エリア。しかも鹿児島沖、豊後水道と立て続けに起きており、同巨大地震に与える影響が注目されているのです」

ちなみに、南海トラフ地震の発生メカニズムは陸側のユーラシアプレートの下に沈み込んだフィリピン海プレートが跳ね返って発生する。

恐ろしいのは、この地震の想定被害が東日本大震災の10倍に及ぶ点だ。

「南海トラフ地震は今後30年以内の発生率が70〜80%、M8〜9の規模が想定されている。この地震が起きた場合は、東海から四国、西日本全域が激しく揺れるとみられている。震度7が想定される地域は10県で、震度6強が想定される地域も21府県に及ぶと予測されているのです」(前出・科学誌編集者)

また、西日本の太平洋沿岸部には20〜30メートルもの津波が押し寄せ、高知県黒潮町では最大34メートルもの大津波が発生からおよそ2分で海岸線に到達するとみられている。

前出の渡辺氏が言う。

「南海トラフ地震は、どんな学説を取ったとしても再来周期(大地震が繰り返される周期)に入っていることは動かしようのない事実。予測される被害との差異はあるにしても、発生が遠い未来ではないことを肝に銘じるべきです」

しかも、未曽有の国難をもたらす南海トラフ地震は、前述の首都直下地震や富士山噴火をも誘発する危険性がある。

この連鎖が起きた場合、日本は壊滅を免れないだろう。

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