“世界アニソン総選挙”日本と海外のランキング差が物議「日本人が負けてる」オタクは本当に市民権を得たのか?
4月21日に放送された『外国人がガチで投票!世界アニソン総選挙』(テレビ朝日系)が、アニメファンの間で物議を醸している。多様化が進む昨今、果たして「オタク」は本当に市民権を得たのだろうか。
番組では、海外に住むアニメファン1740人を対象に、1番好きな日本のアニメソングにまつわるアンケートを実施。結果をもとに、ランキングベスト20を発表した。
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1位に輝いたのは『新世紀エヴァンゲリオン』の『残酷な天使のテーゼ』、2位は『【推しの子】』の『アイドル』、3位は『ボルテスV』の『ボルテスVの歌』(フィリピンで圧倒的な人気)、4位は『東京喰種トーキョーグール』の『unravel』、5位は『チェーンソーマン』の『KICK BACK』という結果だった。
ちなみに日本人によるランキングも発表され、1位『アイドル』、2位『タッチ』、3位『鬼滅の刃』の『紅蓮華』、4位『残酷な天使のテーゼ』、5位『銀河鉄道999』という結果になっている。
多くの人に愛された懐かしの曲から、近年大きな話題を呼んだ曲など、知名度の高いアニソンが順当にランクインしていたように思える。
しかし、これに「待った」をかける人もアニメファンには多い。主に日本人によるランキングが物議を醸しており、《外国人わかってるなぁ》《『タッチ』だけTOP3で場違い感出てる》《海外の方がセンスいいかも! 日本人が負けてるわ》《日本人の方『God Knows…』か『ハレ晴レユカイ』が入らないのおかしくね?》といった意見が寄せられている。
世間とオタク界隈には認識のズレがある?
「アニメブームを作ったキッカケとなった作品はいくつかあるが、決定的なターニングポイントは、やはり『鬼滅の刃』の大ヒットだろう。親子、またはカップルで、世代や性別を問わず幅広い層が楽しめるコンテンツとなった。アニメ映画の興行収入は驚異的な記録を更新し続けており、業界に集まる資金の規模も昔とは大きく変わっている。つまりアニメはもうオタクだけのものではない、あるいは普通の人もオタクに近いマインドを持つようになった」(アニメライター)SNSや動画ストリーミングサービスの普及もアニメブームに大きく貢献しているだろう。「オタク」を自称する人が増えたが、日本国内で「オタク」は一般化したのだろうか。
「世間とオタクの認識がズレはじめた原因は、少年誌で連載されている作品が深夜帯でアニメ化されるようになったことも関係しているだろう。深夜アニメといえば、大人のアニメオタクに向けたものだった。しかし『鬼滅の刃』や『呪術回戦』など、週刊少年ジャンプの人気作品も深夜帯でアニメ化されている。それらの作品がストリーミングサービスで、いつでも見られるようになったため、『オタク』を自称する人が増えた」(同・ライター)
時代や技術の進化によって、アートやカルチャーはその姿を変えてきた歴史がある。
「いわゆる『オタク』の地位は向上していないが、『オタクが好きだったコンテンツ』の地位が上がったのは事実でしょう。市民権を得たのはあくまでオタク文化やコンテンツであり、かつてオタクと呼ばれていた層は別の蔑称、たとえば『チー牛』などと呼ばれているのが現状でしょう。かつて『オタク』を自称することは、社会から現実逃避する側面があった。しかし今はコンテンツを通じて社会と繋がることを意味している。時代や環境によって『オタク』像は異なるため、ランキングに賛否があるのはしょうがない」(同)
「オタク」が市民権を得たというより、「オタク」を名乗る別の人種にアイデンティティを乗っ取られたというのが正しいのかもしれない。
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