昨年、ニューアルバムを発売した岡崎友紀。ドラマ『おくさまは18歳』(TBS系)の大ヒットは54年も前になるが、岡崎演じる女子高生・高木飛鳥と石立鉄男演じる夫の教師・哲也とのラブコメチックなやり取りを思い出すだけで、甘酸っぱい記憶が甦る読者も多いことだろう。
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8歳から始まった芸能生活は今年でなんと63年目。7月にはエッセーの出版も控えているということで、ますます元気な近況を聞いた。
――昨年、小坂明子さんらから提供された曲に詞をつけたアルバムを21年ぶりにリリースされたそうですね。
岡崎 はい。小坂さんには1976年の私のアルバムに楽曲を提供いただいて、うれしいことに今回も「きっと…」という素晴らしい作品をいただきました。アルバムのタイトルにもなっている「Now to Now」という曲は、6年前に亡くなった中学時代からの親友を偲ぶ歌で、その娘の1人が神村紗希さんという音楽家。想い出を語り合ううちに、紗希ちゃんが曲を作り私が詩を書くことになりました。でも、思いのほかパワフルな曲に仕上がっています。昨年末にはアルバムの発売を記念してライブを開催したのですが、古希を迎えたことと人工股関節手術の成功も記念しているんです。
――そんな大手術を!?
岡崎 実は長いこと歩くことが不自由で、「気合で治そう」としていたんですね。2年前に行った芸能生活60周年のライブでは、歌は普通に歌えるのに足を上げることさえできず、まるで魔法使いのおばあさんみたいな歩き方をしていました(笑)。このままでは動けなくなるという恐怖で両足の手術を決意。人工股関節を入れたら、何十年か若返っちゃって。次回のライブでは、ステップくらいは踏んじゃおうかなと思っているんですよ♪
――ドラマ『おくさまは18歳』を演じられたのは岡崎さんが17歳のとき。視聴率は驚異の33%で、ドラマだけでなくご自身のアイドル的な人気もすさまじかった。ブロマイドの売り上げは46カ月間1位でした。
岡崎 マルベル堂さんですね。ポーズが少し古臭かったのが恥ずかしくて、撮影時のことは今でも覚えています(笑)。
――ドラマだけじゃなく、歌手、司会、作詞、さらにはファッションリーダーでもあり、文字通りの「元祖マルチアイドル」でした。そもそも『~18歳』にはどんな経緯で出演を?
岡崎 所属事務所に届けられた各局の新番組の企画書を1つ1つ読ませていただき、『おくさまは18歳』というタイトルに「これってラブコメかも?」とピン!ときました。主役の高木飛鳥という名前もすごく気に入り、その後の作詞活動でもペンネームにさせてもらいました。
――主題歌の「おくさまは、おくさまは、18歳~♪」も岡崎さんが歌われていて、作詞もされていた。マルチな才能は既に花開いていたんですね。
岡崎 もともと雑誌の連載を持つなど、書くことは好きなんです。それに、飛鳥の衣装も私から提案させてもらったんですよ。最初に用意されていたのがタイトスカートに白のブラウス、フリルの付いたエプロンと、いかにも新婚の奥様っぽかった。でも、なんだか飛鳥のイメージじゃないなと思い、ショートパンツにサスペンダー、厚底サンダルを持参しました。それらを日本で最初に取り入れたのは私だと思いますね。
“夫”とセリフの会話以外ほぼナシ!?
――夫役の石立さんとは息がぴったりでした。「もう知らないっ」と飛鳥が頬を膨らませ、哲也がたじろぐ…というのがお決まりのシーン。それまでに共演経験はあったんですか?
岡崎 実は『~18歳』の2年ほど前、NHKの主演ドラマ『あねいもうと』のロケで石立さんは島の青年役でゲスト出演されたのですが、優しくて話しやすく、いいお兄さんという感じでした。そのロケの最中に私の誕生日(7月31日)が来たのですが、そしたら石立さんが「僕も誕生日です」って。
――運命を感じますね。
岡崎 2年後、『~18歳』の企画書に夫役が石立さんと書かれていて、「うわぁ~っ」と思いましたね。
――その石立さんは07年、64歳で急逝されてしまった。
岡崎 本当に驚いたし切なかったです。ただ、世間の方たちはドラマの影響で私たちを本当の夫婦のようにイメージされてるみたいで、私はまるで未亡人になったかのよう(笑)。そういう雰囲気のコメントを求められたのは困りましたけど。
――ドラマ以外での交流はあったんでしょうか?
岡崎 意外に思われるかもしれませんが、プライベートでお会いしたことは一度もありません。それどころか、撮影の1年間、セリフの会話以外ではほとんどお話をしたことがないんです。忙しすぎて撮影が終わるとすぐに次の仕事場に移動していましたし、石立さんもご機嫌がいいときと悪いときがハッキリしていてスタッフも気を使っていましたから。年齢差も11歳ありましたしね。
――司会者としての活躍は『NTV紅白歌のベストテン』(日本テレビ系)が印象深い。紅組キャプテンとして5年間務められました。
岡崎 あの頃の歌番組は本当に華やかでした。花の中三トリオ(山口百恵、桜田淳子、森昌子)に新御三家(郷ひろみ、野口五郎、西城秀樹)、その後にピンク・レディですから。私自身の新曲を歌うこともありました。なぜか正月でもないのに隠し芸みたいなこともやらされたり。津軽三味線やハープ、鏡獅子などを、たった1日のリハーサルで覚えるんです。夜中に集まったりして、本当に真剣でしたね。
――生放送だから、ハプニングもあったのでは?
岡崎 コントなどはリハのときより面白くなって時間が延びたり。ラストに歌うのが演歌の歌手の方が多かったので、しっとり歌うはずの曲がアップテンポになったりして気の毒なときもありました。歌手の人たちの年齢が妹のような感じで、恋の悩みを聞いてあげたりもしたことがありましたね。携帯電話もないし、メールのやり取りもできない時代ですから、みんな苦労していたんでしょう。
――ご自身もモテた?
岡崎 いいえ。私にはいつも母が一緒で監視されてましたから。最初の結婚(25歳)まで恋愛はナシです。
――2回の結婚と離婚をされてますが、〝おくさま〟ぶりはいかがでした?
岡崎 いわゆる「奥様」っぽくはなかったかもしれませんね。慎ましやかで、朝から晩まで家事…みたいなことは自分でも想像できませんでした。
――ファンクラブには女性がとても多いそうですね。
岡崎 そうなんです。うれしいけれど、それだけ私に色気がないってことじゃないかしら!?(笑)。
岡崎友紀◆おかざきゆき 1953年7月31日生まれ。8歳で新宿コマ劇場の宮城まり子公演で初舞台。ドラマ『なんたって18歳!』(TBS系)、『小さな恋のものがたり』(日本テレビ系)、バラエティー『巨泉・前武ゲバゲバ90分!』(同)など。自然環境と動物の保護にも長年積極的に取り組んでいる。
岡崎友紀オフィシャルウェブサイト:yukiokazaki.net/X(旧ツイッター)@okazaki7yuki31
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