人件費や原材料費、光熱費の高騰はラーメン店にも影響を及ぼしていた。
ラーメン店の倒産が大幅に増加したことが明らかになった。東京商工リサーチによると、2023年度(4月〜3月)のラーメン店倒産件数(負債1000万円以上)は63件で、前年度の2.7倍と急増しているのだ。
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「今年3月にも9件が倒産している。このペースだとラーメン店の倒産は過去最多を大幅更新することが予想されます」(グルメライター)
経済産業省の経済センサス活動調査(16年)で全国のラーメン店は約1万8000店だった。それが現在は約2万4000店とされ、大幅に伸びている。
「ラーメン店は日本の和食文化を代表する寿司屋より多くなっている。背景にはメディアで取り上げられれば、行列ができるラーメン店となり年商10億円も夢ではないとの実態があるから。しかも、場所によっては数百万円の設備投資で店が持てる。一発勝負で新規参入する者が続出しているんです」(ラーメン評論家)
立ちはだかる“壁”
これまでラーメン店は、値段の安さから「景気に左右されない業種」といわれてきたが、20年1月からの世界的な新型コロナウイルス感染症流行で大きなダメージを受けた。
「コロナ禍で客足が遠のいたため、従業員を解雇しました。家族経営で細々と生活してきたのにウクライナ侵攻も加わり、原材料費や光熱費が高騰した。もはや店がつぶれるのも時間の問題ですよ」(東京下町で30年近くラーメン店を経営しているSさん)
ラーメンは国民食として定着している。味も醤油、味噌、豚骨、塩のほか、ご当地、大勝軒系、二郎系、家系など形態も多岐に渡る。
「他店との味や価格も比較されやすいうえ、『1000円の壁』に象徴されるプライシング(製品やサービスの価格を決めること)も重要になっている。コスト高をカバーする力=味や個性に魅力のないラーメン店の生き残りは難しい時代に入っていますね。その結果、倒産が増えているんです」(流通ジャーナリスト)
ラーメン店は「1000円の壁」を突破できるか。
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