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小池百合子“大失速”で岸田首相が「戦闘モード」に突入!強気の党運営が吉と出るか?

岸田文雄
岸田文雄 (C)週刊実話Web 

つい最近まで「日本初の女性総理大臣誕生か」ともてはやされていた東京都の小池百合子知事が一転、窮地に陥り、失速気味だ。

これとは対照的に、岸田文雄首相は、内閣支持率が相変わらず低迷しているものの、どこか吹っ切れたように強気の党運営で独裁色を強めている。

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攻守逆転となった永田町の風景。小池、岸田両氏によるパワーゲームは熾烈を極めている。

「岸田首相は小池氏の動向に神経を尖らせています。7月7日投開票の都知事選前に衆院解散があれば、出馬の可能性もあるからです。通常国会の会期末にあたる6月解散を模索している岸田首相にとっては、解散までに小池氏をつぶしておく必要がある。あの手記は、そのために岸田サイドが手を回したとしか思えません」

全国紙政治部デスクが指摘する〝あの手記〟とは、4月10日発売の『月刊文藝春秋』5月号に掲載された「小池百合子都知事元側近の爆弾告発」「私は学歴詐称工作に加担してしまった」という見出しの記事のことだ。

執筆者は元都民ファーストの会事務総長で弁護士の小島敏郎氏。

小池氏の学歴詐称疑惑をめぐっては、2020年5月に発刊されたノンフィクション作家・石井妙子氏の著書『女帝 小池百合子』(文藝春秋)が、小池氏の「カイロ大学卒業」の経歴は虚偽であると指摘し、話題を呼んだ。

その際、カイロ大は小池氏が同大を卒業したことを証明するという声明を出し、それがなぜか駐日エジプト大使館のフェイスブックに載ったが、手記によると、この策は小島氏の発案だったというのだ。

小島氏は「声明文は、図らずも、私が発案して、A氏が文案を作成した。それに小池さん自身が修正を加えた」「大学を卒業していない小池さんは、声明文を自ら作成し、疑惑を隠蔽しようとした」などと記述している。

その上で「小池さん、これ以上、周囲の人を巻き込み、共犯者を作らないでください。そして自ら真実を述べ、出処進退を決めてください」と締めくくっている。

ちなみに、岸田首相周辺からは手記発売後「疑惑が再燃したことで小池フィーバーも沈静化するだろう」との声も漏れているが、今や学歴詐称疑惑が再び小池氏のアキレス腱となったことは間違いない事実だ。

「麻生氏の影響力も落ちた」

もっとも、小池氏を失速させている要因はこれだけではない。4月28日投開票の衆院東京15区補欠選挙に作家の乙武洋匡氏を擁立したが、これが各方面から不評を買っている。

乙武氏は、小池氏が特別顧問を務める地域政党・都民ファーストの会が国政進出に向けて設立したファーストの会の副代表である。

出馬会見では小池氏との2連ポスターを掲げていたにもかかわらず、無所属で出馬すると宣言。「このタイミングで自民党から推薦を受けるということは、おそらく逆風になるんでしょう」とも発言したのである。

政治部記者が解説する。

「そもそも、ファーストの会副代表の乙武氏が政治不信を理由に同党の公認を固辞し、無所属出馬したこと自体が不誠実。裏金問題の影響で候補者擁立を見送り、小池氏の擁立候補を支援すると決めていた自民党からは怨嗟の声が噴出している。また、公明党は以前女性問題が報じられた乙武氏の支援に慎重姿勢を見せていたが、同氏が『(自公と)一緒に戦うことは想定していない』と言い切ったため、あきれ返っているのです」

永田町では、乙武氏をファーストの会が推薦したことから「なぜ小池氏はこんな人物を擁立するのか」と評判になっている。

そんな凋落著しい小池氏と対照的なのが、強気の党運営にまい進している岸田首相だ。

政治部記者が続ける。

「裏金問題を受けた党内処分では、参院安倍派会長だった世耕弘成前参院幹事長に対し容赦なく離党勧告を突き付け、安倍派の一角を突き崩した。また、権勢を振るう二階派会長の二階俊博元幹事長を次期衆院選で不出馬に追い込む一方、安倍派5人衆の1人で安倍晋三元首相の最側近だった萩生田光一前政調会長に対しては、党役職停止という甘々処分で敵に回すことを避けた。そのどれもが岸田首相の思い通りに事が運んでいるのです」

それだけではない。麻生太郎副総裁が、地元・福岡の政敵である二階派事務総長の武田良太元総務相に選挙で公認が得られない党員資格停止処分を求めたのに対し、岸田首相はそれを聞き入れず、党役職停止にとどめたのである。

「武田氏の扱いをめぐる党内調整は最後の最後まで難航し、最終的に岸田首相は麻生氏に従うことはなかった。その意味では武田氏は麻生氏に勝ったと言えるが、党内では『麻生氏の影響力も落ちた』と評判になっている」(自民党幹部)

もはや岸田首相の強気の党運営はやりたい放題。その首相は裏金問題の処分決定後、記者団にこう語っている。

「政治資金規正法の改正などによって再発防止、政治改革に全力で取り組まなければならない。それが総裁としての責任だ。取り組みの進捗や取り組みぶりを見ていただいたうえで、最終的には国民、党員に判断いただく」

この発言の「国民の判断」とは衆院選、「党員の判断」とは9月末の任期満了に伴う総裁選のことに他ならない。

自身に対して「おとがめなし」という民間企業では考えられない非常識をやってのけた首相は、今や〝戦闘モード〟に入っているようだ。

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