蝶野正洋 (C)週刊実話Web 
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蝶野正洋『黒の履歴書』~紅麹サプリメントによる健康被害問題

小林製薬が製造した紅麹を由来とするサプリメントを摂取した人からの健康被害が報告され、パニックが広がっている。


小林製薬は3月末に会見を開き、通常の製造工程では含まれない「未知の成分」が検出されたことを明らかにしたが、混入経路の特定には至っておらず、健康被害との因果関係も分かっていないようだ。


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原因究明にはまだ時間がかかりそうだが、問題となったサプリメントは「機能性表示食品」というカテゴリーの商品だった。


2015年から導入された機能性表示食品の制度は、メーカーが消費者庁に申請した届け出が受理されれば、事業者の自己責任で「お腹の調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」など、健康に役立つ機能を表示することができるみたいだ。


国の審査が必要なトクホ(特定保健用食品)とは異なり手軽なため、今回の問題が発覚後、専門家からは「ビジネス優先で安全性が置き去りになった」という声も上がっている。


実際、機能性表示食品が生まれた背景には、食品メーカーとドラッグストアのような大型小売店からの要望も大きかったみたいだ。

梅干しを“1日10個”食べたとしたら…

実は日本のドラッグストアは10兆円産業といわれていて、販売スタイルのモデルとなったアメリカよりも市場規模が大きくなっている。

医薬品を取り扱い、さらに日用品や食料品まで売っているようなお店は、世界的にみても珍しいそうだ。


確かにドイツあたりでは薬局でしか薬が売られてないし、食品やサプリメントとはちゃんと区別されている。


何でも売っている日本のドラッグストアは確かに便利ではあるけど、安全性という点では消費者側の考え方を改めないといけないかもね。


ドラッグストアでは薬もサプリメントも似たような感じで棚に並んでいたりするから深く考えないで買ってしまうし、手軽に買えることで用法・用量を守らなかったりすることも多いと思う。


例えば、栄養ドリンクは1日1本と用量が決まっているものがあるけど、今晩は頑張ろうというときに、一気に何本も飲んでしまうことなんて珍しくない。


大横綱の輪島(大士)さんがプロレス転向時、1カ月分のプロテインを1回で飲んでいたなんて笑い話もある。


そもそも体質によって合う・合わないがあるし、同じ量を服用しているはずなのに、人によって効果も違ってくる。


健康にいいといわれている食べ物だってそうだ。万能薬ともいわれている「梅干し」は、1日1個食べることを推奨されているが、1日10個はアウトだろ。


酒も適量ならば「百薬の長」だけど、アルコール依存症レベルになれば膵炎、不整脈、心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症、糖尿病などのリスクが高まる。


お酒も個人差があるし、量を間違えればキリがない。健康サプリメントも体質、年齢など合う・合わないと個人差があるから、自分を把握することが一番大切だ。


あと、消費者庁が機能性表示食品制度のあり方について検討を進める対策チームを立ち上げたようだが、個人としても「健康」という言葉に惑わされないようにしたい。


サプリメントにどんな成分が入っているのか確認するなど、体に入れるものに対しては慎重になったほうがいいね。
蝶野正洋 1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。