『ルポ 出稼ぎ日本人風俗嬢』朝日新書/870円
松岡かすみ(まつおか・かすみ)
1986年高知県生まれ。同志社大学社会学科卒業。PR会社、出版社勤務を経て、2015年より『週刊朝日』編集部記者。21年からフリーランスとして雑誌や書籍、Webマガジンなどのメディアを中心に活動。
――海外に出稼ぎに出る風俗嬢が増えているそうですが、一体どのくらい稼げるのでしょうか?
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松岡 国によっても異なるのと、年齢やスペックなどによる個人差も大きいようですが、海外への出稼ぎを斡旋するエージェントらの話では、「低く見積もって、1日で平均15~25万円」「オーストラリアで1日6~12人を相手にして、だいたい1500~3000豪ドル(約15万~30万円)」ということでした。稼ぐ方法は個人で出稼ぎに行く場合と、エージェントやスカウトらを介して出稼ぎに行く場合とで変わってきますが、一定期間滞在して、まとまった額を稼ぐスタイルが多いですね。
――どのような女性が海外に渡っているのでしょうか?
松岡 大きく2つに分かれている印象です。1つ目が国内の風俗で一定の成功体験を持った上で「もっと稼ぎたい」と海外に目を向ける女性。2つ目が、思うように稼げず借金を抱えていたりして、「何とか稼がなければ」と海外に目を向ける女性です。「楽に稼げる」といった謳い文句につられて、リスクを考えることなく、半ば流されるような形で出稼ぎに行く女性もいると聞きます。
給料が上がらない日本を飛び出して…
――不法就労や国外退去などのリスクが伴うと思うのですが…。
松岡 現在、アメリカをはじめ多くの国が売春目的での入国を禁止しているため、出稼ぎをする女性たちは「観光目的」などと嘘をついて入国しています。これはもちろん「不法就労」にあたり、検挙の対象となり、国によっては逮捕される危険性もあります。昨年、観光目的でアメリカに入国しようとした日本人女性が、現地の空港で売春を疑われて強制帰国させられたという報道が注目を集めましたが、似たような例が相次いでおり、すでに日本人女性の入国審査に影響が出始めています。今後はより大きな問題に発展していく可能性があると思います。
――円安が続いています。今後も海外への出稼ぎは増えると思いますか?
松岡 長引く不況や円安の影響、またSNSなどで手軽に出稼ぎ情報にアクセスしやすくなっている影響などから、出稼ぎに目を向ける人は今後も増えるかもしれません。背景には、格差や差別が広がる社会の実態や、生きづらさを抱えた人が働きづらいなどといった、社会の歪みがあるように感じます。出稼ぎの善悪をジャッジするだけでなく、「一体何がそうさせているのか」と見定めないと、根本的な解決にはならないと考えています。
(聞き手/程原ケン)
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