「4月解散」急浮上!岸田首相が読売新聞トップとの“密談”で決めた事とは?
3月21日午後2時前。東京・永田町の首相官邸から岸田文雄首相を乗せた黒塗りの公用車が向かった先は、東京・大手町の読売新聞東京本社だった。
ここで首相は、同社の渡邉恒雄代表取締役主筆(97)と対面し、約40分間にわたって今後の政権運営と政局への対応について意見交換した。
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全国紙政治部記者が言う。
「岸田首相の本音を知りたければ〝ナベツネ〟の動向を探れと、永田町ではよくいわれます。と言っても、頻繁に会っているわけではない。ここぞというときにしか会わないことから、首相が解散の腹をくくったとみられているのです」
この動きに永田町は色めき立っているが、ここで岸田首相と渡邉氏の関係を説明しておこう。
渡邉氏は、岸田首相本人というより首相の父・文武氏と関係が深い。旧制東京高等学校の同学年で、「刎頸の交わり」といわれるほど親密な関係だったことが知られている。
文武氏は通産官僚を経て衆院議員を5期務めたが、65歳でこの世を去った。
渡邉氏が、文武氏の秘書をしていた文雄氏を不憫に思ったかどうかは分からないが、同じ開成高校出身ということもあり、かわいがっていたことは間違いない。
つまり、岸田首相にとって渡邉氏は後ろ盾的存在ではあるが、党内で孤立無援とあって「そもそも頼る先がナベツネしかない」(閣僚経験者)との声も絶えないのである。
実際、何の相談もないまま派閥解消を宣言された自民党の麻生太郎副総裁などは、いまだにオカンムリ。騒動後に手打ちをしたといわれるが、「閣下(麻生氏のこと)は首相を本気で支える気はない」(麻生氏側近)ともっぱらだ。
「ただ、麻生氏は岸田首相の側近として知られる木原誠二幹事長代理を高く評価している。そのため、木原氏は首相と麻生氏の間を取り持とうとしているが、さしたる効果はないという。最近は〝ポスト岸田〟を狙う茂木敏充幹事長との関係も冷え切ったままで、孤立無援に拍車がかかっているのです」(政治部デスク)
加えて自民党派閥パーティーをめぐる裏金事件の影響で、岸田内閣の支持率は低迷したまま。
6月の所得税減税で国民に恩恵が行き渡れば支持率は上がるとのんきに構えている議員は皆無に等しく、同党の若手議員は「岸田首相を党の顔として戦おうと思っている議員は、ほぼいない」と語るほどだ。
このままでは9月に任期満了を迎える自民党総裁選で、岸田首相は不出馬に追い込まれるとの見方が強まるばかり。
前出の政治部記者が語る。
「永田町では、6月まで解散を待っても首相のレームダック化が加速するだけとの見方が大勢を占めている。4月28日投開票の衆院東京15区、島根1区、長崎3区の3補欠選挙で自民は不戦敗を含め全敗する可能性があるが、その場合には〝岸田降ろし〟が起きかねない。解散を6月まで待つのは愚かな選択でしかなく、イチかバチかの4月解散で生き残る道を模索するしかない」
小池百合子都知事の動向
ちなみに、同補選の東京15区をめぐっては小池百合子都知事が特別顧問を務める地域政党『都民ファーストの会』が設立した国政政党『ファーストの会』が、作家の乙武洋匡氏を擁立する方針を明らかにしている。この発表で以前から噂されていた「小池氏本人が出馬する」との事態は避けられそうだが、依然、首相にとってその存在が脅威であることには変わりがない。
「仮に小池氏の応援で乙武氏が当選すれば、次期衆院選で『ファーストの会』が自民党に不満を抱く保守層の受け皿となり、自民は大幅な議席減に追い込まれることにもなりかねない。岸田首相はそれを分かった上で6月解散を諦め、補選を葬り去る4月解散を渡邉氏に打診したのではないか」(自民党議員)
また、関係者によると渡邉氏との会談で岸田首相は裏金事件の処分についても意見交換。資金のキックバック(還流)を協議する会合に出席した塩谷立、下村博文両元文科相、西村康稔前経産相、世耕弘成前参院幹事長ら安倍派幹部に対しての処分についても相談していたとされる。
「さらに、首相は政治資金規正法改正の自民案を早急にまとめ、自民が考える政治改革と経済対策を合わせて国民に信を問うことも選択肢の一つであることをにおわせたという。これに対し、渡邉氏が岸田首相の考えに真っ向から反対することがなかったため、首相はこれをもって4月解散のゴーサインと受け止めた可能性が高いのです」(関係者)
読売新聞は3月23日付朝刊の1面で、塩谷氏ら4人の処分を「非公認へ」としたスクープ記事を掲載。これは、渡邉氏が首相から直接聞いた話を記事にしたものと思われる。
24年度予算が成立した3月28日、首相は記者会見を開いて「国民の皆さんへの2つの約束」として(1)今年、物価上昇を上回る所得を必ず実現(2)来年以降に、物価上昇を上回る賃上げを必ず定着させることを掲げた。
永田町では、これが選挙公約の柱になるとみられている。
「会見で首相は『解散についてですが、政治資金規正法(の改正)をこの国会中にやる。このことは再三申し上げている』と語った。ただ、解散より規正法改正が先だと言っているわけではない。ここがミソなのです」(前出・閣僚経験者)
いよいよ〝岸田政局〟の幕が開く。
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