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橋下徹氏「首相待望論」菅前首相が実現のために画策する“秘策”

橋下徹
橋下徹(C)週刊実話 

自民党安倍派を中心とした政治資金裏金問題は、後の政権交代の導火線となった『リクルート事件』(1988年)や『消えた年金問題』(2007年)と同様の政局になりつつある。

政治不信が極限に達し、岸田内閣の支持率はデッドライン(20.1%=共同通信3月調査)をさまよい、一向に上向く気配はない。

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岸田政権がレームダック状態の中、自民党や日本維新の会(維新)の一部支持者の間からは、こんな声が上がり始めた。

「国政を今の自民党には任せられない。従来の既成概念や慣習を一気にブチ壊す橋下徹氏を国政に引っ張り出し、新保守政権誕生を」

〝橋下待望論〟が高まっているのだ。

「大阪府や大阪市の行政をトップとして抜本的に変えたのが橋下氏です。維新の生みの親の1人で、2015年に大阪市長を任期満了で辞任してからというもの、8年以上、政界と距離を置いています」(民放テレビ局政治担当記者)

この間、復帰の待望論はあったが、本人は復帰説を否定してきた。しかし、政権交代があり得る現在の政局とは状況が180度違う。

「橋下氏と近しい関係者らによると、『今の不甲斐ない政治と保守層に橋下氏は歯ぎしりして怒っている』そうです。ケンカ上等の橋下氏ですから、主戦場を国会というリングにして闘う可能性は十二分にある」(同)

テレビ朝日などが創設したインターネットテレビ局ABEMAの『NewsBAR橋下』は、橋下氏が政治家らと討論する番組だったが、3月23日に維新の馬場伸幸代表、国民民主党の玉木雄一郎代表らとの討論をもって終了した。

同番組で進行役を務めてきたお笑いコンビ・サバンナの高橋茂雄は、番組終了にあたり「終わるって聞いたときに、橋下さんが選挙に出るんちゃうかなって思ったんですよ」と感想を漏らしていたほどだ。

自民と維新の救世主

それにしても、橋下氏に度々政界復帰への待望論が巻き起こるのはなぜか。

橋下氏が府知事になった08年、大阪府は慢性的な財政赤字で約6兆円の借金があった。歴代知事らは、府の改革は到底無理と半ば諦め、つぎはぎだらけの予算編成でしのいできた。

「しかし、橋下氏は就任早々、『放置すれば破産した北海道の夕張市同様、財政再建団体に陥る』として、大ナタを振るった。つまり、橋下氏は行き詰まった動乱時に求められる政治家で、今の時代にピッタリなのです」(維新関係者)

実際、改革遂行には府職員の人件費大幅削減、私学助成金のカットや助成団体への補助金見直しなど、それまでタブー視されたリストラ案を次々と打ち出した。

そのため各所でガチンコ対決や殺害予告などの脅迫も相次いだが、橋下氏は一歩も引かなかった。

それどころか、財政再建と大阪発展のためとして、大阪市長に鞍替え。そこで打ち出したのが大阪府・市の二重行政を廃止する大阪都構想だったのだが…。

「住民投票の結果、大阪都構想は否決され、橋下氏は15年に市長を辞任し、現在に至っています」(同)

橋下氏が政界を去った後も、維新の勢力は全国へ拡大していった。

21年の衆院選では、公示前の11議席から約4倍の41議席と大躍進。さらに22年の参院選比例代表で維新は約785万票を獲得し、野党第1党の立憲民主党に100万票以上の差をつけた。

「21年と22年の国政選挙での維新躍進は、橋下時代に安倍晋三元首相と当時の官房長官の菅義偉前首相に食い込み、大阪万博の誘致成功とカジノを含むIR推進の実績が大きかった」(選挙アナリスト)

しかし、直近3月のNHK世論調査で維新の政党支持率は3.8%(自民党28.6%、立民6.8%)と低迷している。

「開幕まで1年に迫った大阪万博の建設費激増などのゴタゴタぶりを見ると、橋下氏らの後を引き継いだ吉村洋文府知事(維新共同代表)と馬場代表では、さらなる党勢拡大は荷が重すぎる」(同)

世界的物価高の煽りや資材・人件費の高騰などで大阪・関西万博の会場建設費が当初予定の約2倍に当たる2350億円に膨れ上がったのは周知の通り。

「各世論調査でも約7割の国民が建設費倍増に疑念を持っている。そこに能登半島地震が起き『万博を延期してでも、仮設住宅など復興に回せ』の意見が支配的です。また、万博アンバサダーの松本人志の性加害疑惑も加わり、どこか〝呪われた万博〟の様相を呈しています」(府政担当記者)

大阪・関西万博への国民の関心の冷え込みと比例するように、維新人気にも陰りが見え始めたのだ。

「このままではジリ貧で次の総選挙では自民同様、大敗する可能性が高い。そこで、維新の一部若手が橋下氏を担ぎ出す動きを見せているのです」(同)

自民党にしても、次期総選挙を岸田首相で戦えないのは百も承知。かといって、石破茂元幹事長や河野太郎デジタル相、話題の上川陽子外相では〝救世主〟になり得そうにない。

「自民党再建のキーマンとして急浮上しているのは菅前首相です。菅氏が、密かに擁立しようとしているのが他ならぬ橋下氏。無所属で擁立し、当選したら自民党に鞍替えさせ、首班指名する案です」(自民党関係者)

期せずして橋下待望論は自民、維新の双方から沸き起こっている。

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