
『ミナリ』
脚本&監督/リー・アイザック・チョン
出演/スティーヴン・ユァン、ハン・イェリ、ユン・ヨジョン、ウィル・パットン、スコット・ヘイズほか
配給/ギャガ
50歳から新しいことをやりたくて、人生初のミュージカルに挑戦しています。現在、私が出演している『ウェイトレス』は、もともと2007年に公開された映画。16年からブロードウェイで上演され、音楽も素晴らしくなり、とてもハッピーなものへと変わった最高に笑える感動作なんです。絶賛公演中なので、ご興味がある方は、ぜひ生の私を見に来てくださいね。
さて、今回ご紹介する映画は『ミナリ』。〝いったいどういう意味?〟と思いながら作品の資料を見ると、「アカデミー賞最有力」の文字が気になる。この時期に上映されるほとんどの作品に入れてくる宣伝文句なのも事実。でも、辛口批評サイトで有名な『ロッテン・トマト』では満足度100%。さらに、サンダンス映画祭観客賞・審査員特別賞受賞。他にもノミネート多数で、31の賞を受賞とある。これはスゴイ!
内容は、とある家族の物語。ここでも何度か書いているとは思いますが、他人の家族を覗き見るのって、やっぱり面白いですよね。
アメリカに来た韓国の家族。父親が農業で人生を変えたい、一発当てたいという気持ちに対し、奥さんは呆れ、勃発する夫婦喧嘩に2人の子供たちも、紙飛行機に〝ドント・ファイト〟と書いて親に向けて飛ばすほどのうんざりぶり。
笑いだけでなく感動の涙も流れます
そこに、奥さんの母親まで加わると、突然、映画の展開が変わります。だって、このおばあちゃんは、とてつもなく〝変〟なんです! やっと子供が新しい場所に馴染み、友達もできそうなのに、おばあちゃんが変なことを言って邪魔をするんですから。
でも、なんだか私は、みんなの気持ちが理解できるような気がします。私も母国と違う国で暮らしたことで、子供たちの孤独さや、おばあちゃんに対する心情も分かる。父親の成功への野望と、それをイマイチ信用できない奥さん、特に子供たちとおばあちゃんとの関係が特に興味深い。
孫って褒められたいんですよ。しばらく経って、おばあちゃんの理解ある一言で孫たちと仲良くなりますが、それもまた大問題となる…面白い意味でね。
誌面で紹介しきれない細かいことがいっぱいあるけど、笑いだけでなく感動の涙も流れます。ラストの〝すべてのおばあちゃんに捧げる〟という文字からも、優しさが溢れ出ます。私も日本に来て、東京・葛飾のおばあちゃんと一緒に居ましたが、天国にいるおばあちゃんに会いたくなりました。
長く生きた人の知恵とユーモアにバンザイ!
LiLiCo
映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。
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