林家の城下町に乗り込んできた二階派に対しての怒りは凄まじい。
「二階派が幹事長権限で公認を盾に邪魔するなら、芳正氏は無所属出馬の覚悟だ。河村氏とケンカなら芳正氏の圧勝だ。実際、春の美弥市長選挙は芳正氏が担いだ新人が河村氏の推した現職を破るなど、全区で林派が攻勢を強めている」(同)
自民党関係者が双方の背景を補足する。
「芳正氏は安倍前首相が一丁あがりの今、地元から圧力にも似た将来の総理への期待が日々大きくなっている。これに対し、河村氏は衆院議員をもう1期やり、次は秘書を務める長男に地盤を譲りたい。どちらも引くに引けない事情がある」
自民党内では、二階派のイケイケぶりに警戒感を強める声もある。ある自民党中堅議員は「二階派は山口での強引さもさることながら、菅内閣での主要ポストも総なめで目にあまる」と不満をぶちまける。
「今回の新政権で二階派は平沢勝栄復興相のほか、総務相のポストも手に入れた。党も幹事長に加え、幹事長代理、筆頭副幹事長、選対委員長代行、そして、党の金庫番、経理局長も福井照氏が続投など主要ポストを独占した。やりすぎだ」(同)
「地元の和歌山3区は二階離れが進んでいる」
権力を盾にした二階幹事長は山口3区だけでなく、各地で他派閥との摩擦を引き起こしている。
「次期衆院選では静岡5区で岸田派現職の吉川赳氏がいるのに、二階派特別会員の細野豪志元環境相を擁立しようと画策している。新潟2区でも昨年自民党入りした二階派の鷲尾英一郎氏を細田派の現職議員にぶつける構えだ。鷲尾氏は菅内閣で外務副大臣のポストに就いている。高知2区では石破派の山本有二元農水相に二階派は前知事を擁立。山口3区で林氏の鞍替えに対し『ケンカを売る』としておきながら、他選挙区ではケンカを吹っかけている」(自民党関係者)
他派閥からの批判をよそに、二階派幹部は山口3区で進める作戦を明かす。
「3区で林が鞍替えなら、トドメは除名だ。これで林は動けなくなる」
林陣営に対策はあるのか。
「二階派がどこまでも露骨にやるなら他派閥と組み、次の衆院選は本丸、二階幹事長の和歌山3区に殴り込む。本人か息子のどちらが立候補しようが、地元は二階離れが進んでいる。対抗馬はかねてから参院から鞍替えを狙っている細田派の世耕弘成参院幹事長だ。知名度でも世耕氏が勝つのは必至だ」(岸田派幹部)
二階から梯子を外せるか見物だ。
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