社会

インバウンドの弊害で観光客に迫る“増税の波”

Henry St John
東京・浅草を訪れる外国人観光客(画像)Henry St John/Shutterstock

首都圏の商業施設や観光地が「インバウンド景気」に沸いている。

日本百貨店協会によると、今年1月の全国の百貨店売上高は、既存店ベースで前年同月比7.1%増の4593億円。外国人観光客への免税売上高は、2014年10月以降で過去2番目となる399億円だという。

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「来店客の8割が外国人観光客です。円安に乗じて高級バッグや化粧品、宝飾品などを爆買いしています」(都内の百貨店販売員)

もっとも、インバウンド景気が過熱する一方で問題になりつつあるのは「オーバーツーリズム=観光公害」だ。

観光地などでは、交通インフラの混雑やゴミの不法投棄、環境汚染などさまざまなトラブルが続出しているのである。

「その代表格が日本屈指の観光地・京都市です。同市は現在1人あたり1泊200円〜1000円の『宿泊税』をホテルや旅館の宿泊者から徴収しているが、2年後をメドに引き上げる方針。また3月には、大阪府の吉村洋文知事も府独自で実施中の宿泊税の増額と、オーバーツーリズム対策費用を訪日外国人客から徴収することを検討すると発表したほどです」(経済記者)

スペインでは効果なし

ちなみに、景観保全やトイレなどの「公共物の整備」を目的とした宿泊税は、現在でも東京都、大阪府、福岡県と5市町村が導入しているが、今後は全国に広がりそうな勢いだという。

だが、この税金が今後オーバーツーリズムにどれほどの効果を上げられるかは未知数だ。

経済評論家が言う。

「海外の例をみると、世界有数の観光都市・スペインのバルセロナ市では、2012年から先進的に宿泊税を導入したが、環境汚染や交通混雑などは解消せず、潤ったのは市や政府の財政だけだった。結局、政治家のパフォーマンスと、税金を搾取する名目でしかなかったというわけです」

同じ轍を踏むことだけは避けたい。

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