(画像)Alessia Pierdomenico/Shutterstock
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中国・習近平国家主席の“独裁体制強化”で「台湾有事」待ったなし

中国・習近平国家主席の独裁体制強化が注目されている。


3月11日に閉幕した全国人民代表大会(全人代=国会)で、政府を「中国共産党の従属機関」と位置付けた法律が成立。さらに、「習近平の社会主義思想を、政府活動の指導思想とする」法改正まで行われた。


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「これは、経済政策などを担当してきた李強首相の権力も奪ったということ。これまでも習主席は政敵を汚職で検挙させるなどして権力基盤を築いてきましたが、これで習主席を止める人は誰もいなくなったというわけです」(大手紙外信デスク)


世界的にも異例の〝独裁宣言〟ともとれるが、これが逆に習氏を権力の座から転落させる契機となるかもしれない。


「今後は、中国で発生する軍事や外交、経済政策まで、ありとあらゆる案件の判断が習氏に集中することになる。当然、習氏個人が判断できる範囲には限界がありますから、国政が機能不全に陥るのではないかと懸念されているのです」(同・デスク)

自分を追い込んだ独裁者

不動産バブルの崩壊が長引く中国では経済不振が続き、国内では不満が高まっている。

そうした人民の目を反らすため、習氏は人民解放軍などに、兵力増強やサイバー戦争の準備を命じてきた。


「台湾の金門島で2月に起きた中国の漁船転覆事故を契機に、中国船の進入などを禁じた台湾の禁止・制限区域を否定。同区域への中国艦船のパトロールを常態化させるなど、緊張感は高まる一方です」(安全保障アナリスト)


5月に行われる「台湾新総統の就任式」を狙い、周辺海域で演習やミサイル発射を増やすことも予想されているというが…。


「外交や経済の判断も重要だが、習氏は『台湾統一』を公言しており、もし国家主席3期目の最後の年となる2027年までに侵攻しなかったり、失敗したら〝公約破り〟のそしりを受けるはず。権力を集中させ過ぎ、政策の責任を誰にも押し付けられなくなったことで、逆に追い詰められる可能性も高いのです」(同・アナリスト)


まさに背水の陣。台湾有事は待ったなしの状況になりそうだ。