今春のセンバツ甲子園は「外野手泣かせ」だ。
3月18日から『第96回選抜高校野球大会』が始まった。能登半島地震で練習環境もままならない石川県の星稜、日本航空石川の両校にエールが送られたが、今大会は高校球史に残る〝大きな節目〟ともいわれている。
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「新基準の金属バットが導入されたんです。『飛ばない』とは聞いていましたが、これが予想以上だったんです」(野球担当記者)
高校野球界が金属バットを正式に採用したのは、1974年春季の都道府県大会から。その後、道具の進化や筋トレの定着などで打高投低となっていった。
「19年夏の甲子園大会では、打球が投手の顔面を直撃し、頬骨を骨折する事故がありました。筋トレで鍛えられた球児たちの打球速度はハンパではありません。昨夏、佐々木麟太郎(花巻東卒)の打球は時速200キロを超えていたそうです。投手の安全のためにも(飛ばないバット導入は)やむを得ない措置でした」(スポーツライター・飯山満氏)
甲子園の勝敗は“打撃音”にあり?
こうした背景もあり、低反発の金属バットが導入される運びとなったが、その影響はやはり大きいようだ。
「打球が飛ばなくなった分、エンドランやスクイズなどの小技を使う率が増え、打球の飛距離が読めないんです」(野球指導者)
また、予想外だったのは打球音。通常、外野手はバッターの打った飛球の落下地点を視覚のみで予測すると思われがちだが、実はバットがボールを捉えた瞬間に響く打球音も、大きな判断材料になっているという。
ところが、新金属バットは素材がメーカーごとに異なるため打球音が違い、聴覚による判断がまるであてにならないのだ。
13日からの甲子園球場における各校の練習時には、カキーンという金属バット独特の高い快音が「カコーン」と聞こえた。
従来と同じ「カキーン」もあったが、打ち損じでは「ポコ」「ボコン」など、これまで聞いたこともない打球音も響いていた。
昨秋の明治神宮大会では、北海高(北海道)が全国大会で初めて新金属バットを使用して初戦敗退している。この打撃音に早く対応できるかが勝負を分けそうだ。
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