日本を明るくしたお笑いビッグ3の功績~島田洋七『お笑い“がばい”交遊録』
ビートたけし、明石家さんま、タモリの〝お笑いビッグ3〟は、近ごろ視聴率がふるわないとか、レギュラー番組が減っただとかの記事や書き込みをたまに見かけます。
でもね、40年近く芸能界のトップを走り続けてきたのはものすごいことです。これまでもこれからもそんな芸人は、なかなか出てこないでしょうね。
【関連】漫才ブームでネタにした「借りた」話~島田洋七『お笑い“がばい”交遊録』 ほか
俺らが司会を務めていた『笑ってる場合ですよ!』の後番組として始まったのが『笑っていいとも!』。俺らは2年しか番組が続かなかったけど、タモリさんは約32年間も司会を務めた。
月曜から金曜の生放送でしょ。風邪もひけないし、遅刻もできないですよ。32年間も続けたこと自体、テレビじゃなくてもすごいですよね。しかも、タモリさんは来年80歳ですよ。
たけしもレギュラー番組を抱えながら、映画監督としても活躍している。大変だと思いますよ。
漫才ブームの頃はとにかく俺もたけしも忙しくてね。平日はテレビ番組、土日は地方で営業。俺は約5年間のブームで一度も体調を崩さなかったから、番組を休んだことはありません。
俺が知ってる限り、たけしは7~8回、収録を休んだことがありましたね。俺も休みたいと思ったことは何度もありましたよ。
当時は、収録が終わるのが夜中の1時や2時なんてザラでした。まだ若かったから、みんな忙しくてストレスも溜まっているから、発散するために飲みに行っていたんです。
売れないときはお金がなくて行けなかったけど、売れたからこそ飲みに行ける喜びもあった。会社員の人たちが、仕事終わりに一杯やるのと一緒ですよ。
でも、朝9時にはフジテレビのハイヤーが迎えに来るんです。運転手さんに悪いと思ってなんとか仕事に向かっていましたね。
ビートたけしとバーで飲んでいたら…
たけしは疲れが溜まると扁桃腺が腫れて、微熱が出やすいんです。一度、扁桃腺の腫れでたけしが『オレたちひょうきん族』の収録を休んだことがあったんです。たけしが出るシーン以外だけを撮影して、夜の10時ごろに収録が終わった。
心配でたけしに電話をすると、「もう大丈夫。これから飲みに行かねえか」、「風邪で休んだんちゃうの?」、「薬飲んで寝てたら良くなった」。で、飲みに行くことになったんです。
六本木だと番組関係者もいる。そこで新宿の京王プラザホテルのバーなら関係者はいないだろうと頭を働かせたんです。
ホテルのバーで、たけしはあんまり酒に口をつけなかったけど、俺は仕事終わりだからグイグイやっていた。そうしたら、ひょうきん族のプロデューサーが同じ店で打ち合わせがてら飲んでいた。
こっちに近づいてきて、「タケちゃん、そりゃないわ」。たけしも「ごめん、ごめん。調子が良くなったからさ」、「来週は絶対に来てくださいよ」。
翌週の収録では、俺と飲んでいたことがバレバレでね。さんまはアドリブで「風邪ひいて喉痛くて休んだのに、洋七さんと飲んでたらしいな」と散々いじってましたよ。
それから「出て、出て、休んで、休んで、出て…アルバイトか!」のギャグが流行ったんです。
それにしても、ビッグ3がこれだけ活躍していなかったら、日本は暗くなっていたかもしれません。文句は言わないでほしいですね。
島田洋七 1950年広島県生まれ。漫才コンビ『B&B』として80年代の漫才ブームの先駆者となる。著書『佐賀のがばいばあちゃん』は国内販売でシリーズ1000万部超。現在はタレントとしての活動の傍ら、講演・執筆活動にも精力的に取り組んでいる。
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