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壮絶!“回転椅子”試験『宇宙飛行士選抜試験 ファイナリストの消えない記憶 』著者:内山崇~話題の1冊☆著者インタビュー

『宇宙飛行士選抜試験 ファイナリストの消えない記憶』SB新書/本体価格900円 
『宇宙飛行士選抜試験ファイナリストの消えない記憶』SB新書/本体価格900円 (C)週刊実話Web

『宇宙飛行士選抜試験 ファイナリストの消えない記憶』SB新書/本体価格900円

内山崇(うちやま・たかし)
1975年新潟生まれ、埼玉育ち。2000年東京大学大学院修士課程修了、同年IHI(株)入社。2008年からJAXA。第5期JAXA宇宙飛行士選抜試験ファイナリスト(10名)。現在は、日本の有人宇宙開発をさらに前進させるべく新型宇宙船開発に携わる。

――宇宙飛行士の選抜試験ファイナリスト10名に残りながら、惜しくも不合格になってしまったそうですね。その時の気持ちは?

内山 10カ月にわたる選抜プロセスで、夢だと思っていた宇宙飛行士にあと一歩のところまで近づき、宇宙飛行士として生きる覚悟までしていたにもかかわらず、一瞬で元いた位置に戻されるのはつらい体験でした。1本の電話で目の前から宇宙飛行士という夢が消えてなくなった日のことは、今でも忘れられません。

――実際にどんな試験が行われたのですか?

内山 書類選抜と英語試験で、963名から230名まで絞られました。一次試験は2日間にわたる筆記試験と身体検査で、50名まで絞られました。二次試験では1週間にわたる面接・検査の嵐と病院泊まり込みの検査により、身体中を調べ尽くされました。そこで選ばれた10名がファイナリストとして最終(三次)試験に臨みます。

計18日間に及ぶ試験では、1週間の閉鎖環境試験、ヒューストンで行う1週間のNASA宇宙飛行士試験が目玉になります。ファイナリスト10名は、パイロット、技術者、科学者、医師で、宇宙開発に携わっていたのは、私1名だけでした。

気合で臨んだ“回転イス”の試験

――試験で苦労したのはどんな部分ですか?

内山 最もきつかったのが、回転イス(平衡機能検査)です。もともと乗り物酔いしやすい体質だったため、鬼門だと思ってはいたのですが、三半規管の機能をチェックするエアーカロリック検査(耳から温風を吹き付ける)という予備検査の段階で、めまいの症状が強く出てしまいました。

危うく回転イスに座る前にドクターストップがかけられるところだったのですが、気合で「いけます!」と言い切り、臨みました。しかし、回転されながら首を前後左右に振る動作で、ボディーブローのようにダメージが蓄積し、結局、10分ほどでドクターストップがかかってしまいました。

――選抜試験に挑戦したことを振り返って、今、どんな心境ですか?

内山 試験内容や同志たちとの出会いを含め、素晴らしい体験をさせてもらったと思っています。後悔は1つもありません。受験者同士はライバルではなく、ともに頂きを目指す仲間という意識が芽生える不思議な試験でした。つらい経験もありましたが、すべてが自分を成長させてくれたと思います。

現在はその経験を踏まえ、宇宙船技術者として、日本の、そして、人類の宇宙開発を前に進めたいという想いで、新型宇宙船開発に取り組んでいます。

(聞き手/程原ケン)

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