ナニワの街に花の季節の到来を告げる春場所が3月10日から大阪・難波のエディオンアリーナ大阪で始まった。
土俵の外では北青鵬の暴行問題に端を発した宮城野部屋の処遇がくすぶったままだが、土俵では熱闘が相次ぎ、大いに盛り上がっている。
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今場所もまた、賜杯争いを中心に最後まで目を離せそうもないが、2人の大関が〝有終の美〟を飾らんものと目の色を変えている。
1人は、大相撲界のサラブレッド、新大関の琴ノ若だ。今場所限りで父から譲り受けた「琴ノ若」を卒業し、来場所から祖父の四股名「琴桜」に改名する。
本来なら、大関に昇進した今場所から琴桜を名乗る予定だったが、関脇止まりだった父の思いをおもんぱかり、「たとえ1場所でも、琴ノ若の四股名を大関に乗せてあげたい」と改名を延期した。
琴ノ若を名乗る最後の場所で優勝すれば、こんなにも親孝行なことはないが、ただでさえプレッシャーのかかる新大関で賜杯を抱くのは至難のワザ。平成以降、新大関優勝をやってのけたのは、栃東と白鵬のたった2人しかいない。
「結果を出さなきゃいけない地位」と意気込み
そのためか、大関昇進以来あいさつまわりなどに追われ続けている琴ノ若は、稽古も休まず「結果を出さなきゃいけない地位なので、自覚を持ってやっていく。疲れたなんて言ってはいられない」と先場所、あと一歩というところで取り逃がした初優勝に焦点を絞り込んでいる。
しかし、春場所2日目の11日には早くも朝乃山に敗れ、黒星がついた。12日時点で2勝1敗。やはり新大関のプレッシャーがかかっているのだと思われる。
もう1人は霧島。師匠の陸奥親方(元大関霧島)が4月に定年を迎えるため、部屋が閉鎖になり、来場所からは同じモンゴル出身の音羽山親方(元横綱鶴竜)の下に移籍することが決まっている。
ここまで育ててくれた師匠の恩に報いるチャンスは今場所が最後。琴ノ若との2日連続の三番稽古で圧勝するなど、仕上がりは上々。「他の3大関だけには負けたくない。誰が先に上に行くか。そこでも負けたくない」と気合い十分だ。
しかし、12日時点で0勝3敗と負けが続いている。
優勝すれば、新師匠の音羽山親方へのいい手土産にもなるが、果たして最後に笑うのは…。
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