まさかの“党首討論解散”狙い!? 岸田首相と泉立民代表の思惑が一致「野田VS安倍」の再現か
自民党の主要派閥を解散に追い込んだにもかかわらず、一向に支持率の上がらない岸田政権。このままでは9月の任期満了に伴う党総裁選で、岸田文雄首相が再選することは絶望的だ。
崖っぷちに追い込まれた首相の延命策は、野党が結束しないうちに衆院解散を行うことしかないとみられているが、実は永田町ではこの状況を覆す〝秘策〟がささやかれているという。
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「岸田首相では衆院選は戦えない。9月の次期総裁選では首をすげ替えるしかない」
「辞める気のない岸田首相に鈴をつけるのは、麻生太郎副総裁。その麻生氏は次期総裁選に上川陽子外相を擁立する腹積もりだ」
自民党内は、今や「ポスト岸田」をめぐる話題で持ち切りだが、当の首相は続投する気満々だという。
全国紙政治部記者が言う。
「続投するには衆院解散に打って出るしかありません。野党が乱立している以上、岸田首相の支持率がいくら低くても負けることはあり得ない。つまり、議席減を最小限に食い止めることができれば続投は可能。首相の側近である木原誠二幹事長代理も『衆院選で議席は微減にとどまる』と読み、解散を進言しているそうです」
ただ、実際に首相が解散に踏み切ろうとすれば、自民党議員らがこぞって「討ち死にはごめん」とばかりに、羽交い締めにしてでも阻止に動くはず。
各報道機関の世論調査による内閣支持率が20%台という状況での解散は、「自殺行為でしかない」(閣僚経験者)といわれているからだ。
また、首相は衆院政治倫理審査会での弁明に自ら立ち、渋る安倍派議員らを横目に裏金問題の究明に臨んだが、これに関しても世間から沸き起こったのは「何も明らかにならなかった」という不満の声だけ。そのため、とどまることのない求心力の低下を払拭する〝秘策〟がささやかれ始めているのである。
自民党関係者が語る。
「それが『党首討論』を利用した起死回生策です。その場で高らかに解散を宣言すれば、もはや誰も衆院選を止めることはできません。総選挙を武器に反転攻勢に打って出る策が、永田町で注目されているのです」
この「党首討論」で思い出されるのは、旧民主党政権末期の2012年11月に行われた、野田佳彦首相と安倍晋三自民党総裁(いずれも当時)のやり取りだろう。
このとき、野田首相はこう切り出している。
野田「16日に解散します。やりましょう」
安倍「それは約束ですね。約束ですね。よろしいんですね。よろしいんですね。選挙戦で相まみえることを楽しみにしています」
憮然と言い放った野田首相と、突然の解散表明にうろたえつつもファイティングポーズを取った安倍氏。日本の政治史に残る「あの光景」が再現される可能性が、永田町の一部で指摘されているのである。
泉代表にとっても望ましいシナリオ
実は、この衆院の解散プランは野党第1党の立憲民主党の泉健太代表にとっても望ましいシナリオだという。「同代表の任期満了も自民党と同じ9月だが、党内では『泉氏の再選はあり得ない』(党幹部)との見方が強いからだ。枝野幸男前代表を筆頭とする党内のリベラル勢力は、当然ながら旧国民民主出身の泉氏を支持することはない。前回の代表選時に支援した小沢一郎衆院議員のグループも、『代表に就任した途端に小沢氏と距離を置き、何も相談しに来なくなった泉氏を支援するはずがない』と恨み骨髄の状態なんです」(前出・政治部記者)
ちなみに、同党の代表選には枝野氏のほか、長妻昭政調会長、小川淳也前政調会長、党内グループ「直諫の会」代表である重徳和彦衆院議員ら数多くの議員が虎視眈々と出馬を狙っており、泉氏再選の余地はほとんどないといわれている。
だが、解散総選挙となれば自民党が政治とカネをめぐる問題で信頼を失っている今だからこそ、たとえ政権交代に至らなくとも立憲民主党が議席を伸ばす可能性は大。これが実現すれば、泉氏を代表から引きずり降ろす理由も雲散霧消してしまうのだ。
「つまり党内で不人気な岸田首相と泉氏は、一発勝負で起死回生を狙うしかない、同じ境遇を抱えた者同士。入念な打ち合わせをした上で党首討論に臨み、解散をぶち上げる首相に泉氏が『よろしいんですね』と返せば、野田VS安倍のときと同じく与野党の各議員、各候補は選挙に向けて走り出さざるを得ないのです」(同・政治部記者)
政治資金問題が吹き荒れる中、自民党の議席が微減にとどまれば岸田首相の勝利。片や立民の議席が微増となれば、すなわちそれは泉氏の勝ちとなり、かくして両者はめでたく続投するというわけだ。
解散の時期をめぐっては来年度予算成立後の4月、国民が所得税減税の恩恵を受けられる6月がささやかれているが、本命視されているのは後者の方だ。
現在行われている通常国会の会期末が6月23日のため、会期末解散ということになる見方が強いのである。
自民党関係者が言う。
「総裁選に近い時期の解散は、岸田降ろしを狙う議員を中心に『まずは総裁選を行うのが先』との声が強まる可能性がある。総裁選前の解散ができなかった菅義偉前首相の二の舞いになりかねないだけに、この会期末の6月解散ができるかがカギとみられているのです」
日本の政治史上、2度目の〝党首討論解散〟が起きるかもしれない。
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