3月6日と7日の2日間、野球日本代表・侍ジャパンとヨーロッパ代表の強化試合が、京セラドーム大阪で行われた。
試合はともに侍ジャパンが1点も許さず圧勝し、国内ニュースでは、その強さに酔いしれるような報道が続いている。だが、野球ファンの多くは、むしろ否定的な印象を抱いたようだ。
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6日の初戦で侍ジャパンは5-0で完勝。翌7日も2-0と零封で勝利した。点差こそ6日より縮められたが、7日の試合は5人の投手リレーで1人の出塁も許さない〝完全試合〟を達成し、スポーツニュースを大きく沸かせることとなった。
しかし、ここまで実力差を見せつけた勝利は、ヨーロッパでの野球の普及率という観点から、逆に野球ファンの懸念を生むこととなる。
すでに広く知られているが、野球は少数の国で盛んなだけで、世界的な競技人口は少ない。オリンピック種目からは除外され、WBCも世界的な注目度は低く、国際大会の成立すら危うい状況だ。
「この状況を打開するには世界的な普及が必至であり、未開拓とも言えるヨーロッパは重要な市場と位置付けられています。この地域の人々が野球の魅力を知れば、一気に国際色を帯びた競技へと変貌するでしょう」(スポーツジャーナリスト)
ところが、今回の強化試合は2試合ともワンサイドゲームと、ヨーロッパ側としては全く見どころの無いまま終わってしまった。これでは、野球の魅力に気付く機会など無く、普及など夢のまた夢だろう。
「完全試合されたらヨーロッパで野球やる人減る」
長期的な視点で〝野球競技〟の将来性を憂慮しているファンは、こうした点から今回の強化試合に複雑な想いを抱いたようだ。
ソーシャルメディアには《こんなにレベル差あって、初めて試合見る人にどうやって普及させるつもり?》《代表戦が面白くないと世界で流行らない》《野球が世界で人気ない理由が分かる》《ヨーロッパ普及を目指した親善試合じゃないんか?》《完全試合なんかされたらヨーロッパで野球やる人減る》といった意見が相次いでいる。
「野球の世界大会は国籍の要件が緩いのですが、これは、ひとえに競技人口の少なさゆえ。厳密にすると、多くの参加国はチームを組めなくなってしまいます。つまりは、これだけ間口を広げないといけないほど選手が少ない=野球人気がないということなのですが、今回の強化試合を見て野球に興味を持つヨーロッパ人など皆無でしょう。公式戦ではなく強化試合なのですから、オールスターゲームのように和気あいあいと〝野球に触れる機会〟と割り切って良かったのでは」(前出・ジャーナリスト)
ヨーロッパ代表にチェコから選抜されたマルティン・シュナイデル選手は、本業が消防士だ。
プロ選手のみで各国がチームを組めるようにならないと国際大会の存続は危ういが、今回の強化試合で野球に興味を持つヨーロッパの人々がどれほどいることやら…。
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