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蝶野正洋『黒の履歴書』~“週休3日制”導入の是非

蝶野正洋
蝶野正洋 (C)週刊実話Web

千葉県が、職員に対して〝週休3日〟が可能になるフレックスタイム制を導入すると発表した。1カ月の総労働時間は変えずに勤務時間を割り振ることで、平日を週休日とすることができるという。

それにしても、週休3日という言葉だけ聞くと、時代は変わったと感じるね。昭和の頃は、会社の休日は日曜日だけで、土曜日は午前中だけ出勤するというのが一般的だった。


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学校も同じだったけど、公立校では1990年代から徐々に土曜休みが導入され、2002年度からは完全週休2日制になっている。

ウチの子供たちは私立校に通っているんだけど、土日と祝日に加えて、学校の行事やいろいろな事情で休校ということがよくあり、以前よりも休みが増えているように感じる。

それでも勉強を教える範囲や量は変わらないから、1日単位での勉強時間は増えている。休日も自主学習をしたり、かえって負担が大きくなっているような気がするよ。

会社でも休日は増えたけど、そのぶん残業時間が延びるのであれば、本末転倒だよね。会社側がどれだけルールを作っても、現場の労働実態とのズレというのは出てくると思う。

ただ、手続きの電子化が進んできているから、役所の窓口業務の担当者は手が空くようになってきているのかもしれない。

利用する側もラクになった。ちょっと前までは役所に行って書類を提出するだけでも1日仕事だったけど、それがいまやインターネット上で簡単にできてしまう手続きも多い。

銀行も昔はわざわざ窓口まで行って、番号札を取って、散々待たされてからようやく受け付けてもらっていたような手続きが、スマホ一つで済むようになった。

問題は休みより給料が上がらないこと?

こうした窓口業務や手続きだけでなく、さまざまな業界での仕事がスマホのおかげで短縮化している。会議だってリモート化が進んで、どこからでも参加できるから移動の時間がいらなくなったからね。

なのに、なぜか忙しさは変わらないんだよ。労働者側には時間が空いたら、なにか他のことを詰め込んでしまうクセが、根強く残っているんだと思う。

問題は、休みが増えても給料が上がらないことだよ。時給で換算すればよくなっているかもしれないけど、月の手取りは変わらない。

使えるお金がないから、休日はずっと家にいるしかないという人も増える。そうなると、経済は回らないから景気もよくならないし、お父さんが家にいることで、奥さんや子供にストレスがかかってモメ事も頻発するかもな。

週休3日だけど収入が変わらないのなら、お金のかからない趣味を見つけないといけない。

大衆娯楽のパチンコは、1玉1円といった低レートが当たり前になっているけど(通常は1玉4円)、それでも高いとなれば、今後は1玉0.1円で遊べる店ばかりになるかもしれない。

日本のGDPがドイツに抜かれ、世界4位に転落した。1人当たりの生産性向上のために働き方改革を行うのも理解はできるが、一方では働きたいのに働かせてもらえず、時間を持て余して途方に暮れる人も出てくるだろう。

この矛盾した状況が、低迷している今の日本を表しているのかもしれないね。

蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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