お笑い賞レースとして日本一の知名度と影響力を誇る『M-1グランプリ』に、芸人から異論が相次いでいる。このままでは、大会そのものが存続の危機に立たされそうだ。
2月22日に『プラス・マイナス』岩橋良昌が、自身のXに《賞レースからの解放 俺、お笑いで戦うなんて嫌い それは悔しさ、憎悪、ねたみ、とらわれ、ストレスを生む 笑いとは逆の感情 みんな違ってみんなおもろい それでええ》などと投稿した。
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続けて《芸人辞めさすためにM-1作った人がとっくに辞めた今いつまでM-1にこだわってんの それしかないんか》と批判。現在の大会が、設立の意義に反していると疑問視した。
「岩橋は前日の21日、吉本興業から活動休止とSNS投稿禁止を言い渡され、本人が同意しなかったため、事務所を退所したと自身のXで報告。コンビ解散と芸人引退の意向を表明し、前述の投稿のような事務所やお笑い界へ批判を連発した。岩橋による一方的な発言のため、吉本側がどのように対応するのかは未確定です」(芸能ライター)
岩橋が言う通り、当初の「M-1」は若手発掘以外にも〝お笑い界にしがみつく芸人〟を諦めさせる狙いがあった。これは、お笑い界以外でも広く知られている。
目的だった「やめるきっかけ」が全く機能していない惨状
「M-1」の第1回大会は2001年。大会委員長たる創設者は島田紳助氏で、芸歴10年以内が出場資格であった。
この制限については、芽の出ない芸人に引導を渡すことが目的だったと語られている。19年10月8日放送の『アッパレやってまーす!』(MBSラジオ)では、『スピードワゴン』小沢一敬が「漫才師って辞めるきっかけがないじゃん。『ひょっとしたらいつか売れるかも』って」「だけど、やめるきっかけを作ってやるために『M-1』作ったって言ってたもんね」など、紳助氏の言葉を明かしている。
『平成ノブシコブシ』徳井健太も、自身の著書『敗北からの芸人論』で、《「芸人がお笑いを辞めるきっかけのひとつとして」作られた大会とも言われている。「芸歴10年にもなって、M-1の決勝に出られないなら諦めた方がいい」とは、大会の名付け親で大会委員長も務めた、島田紳助さんからの殺生なメッセージだ》とつづっている。
ところが現在、大会休止も挟んだからか「M-1」は結成15年以内に制限が緩和され、結成15年以上を対象にした『THE SECOND』も昨年からスタート。引導を渡すどころか、芽の出ない芸人が〝ワンチャン〟を狙ってしがみつく環境ができている。
「紳助氏が引退し、半ば後継として審査員に就いた松本人志も、終わりの見えない活動休止に入っている。もはや『M-1』は当初の目的から外れ、身内から苦言が相次ぐ今、急速に存在意義を失っていると言えるでしょう。大会は15年の再開から今年で10回目の節目を迎えますが、第1回大会から10回目の2010年には一度終了している。タイミング的にも、ここで終わっていいかもしれない」(お笑い養成所関係者)
事務所のパワーバランスが崩壊し、お笑い界が激動の今、ドラスティックな変化もやむを得ないのかもしれない。
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