(画像)Moab Republic/Shutterstock
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北朝鮮VS韓国「第2次朝鮮戦争」待ったなし!“戦争準備”に入った金正恩総書記の勝算

北朝鮮の金正恩総書記が〝戦争準備〟に入っている。


標的となるのは、もちろん韓国。首都ソウルの大統領府に向けてミサイルを発射するなど、奇襲を仕掛ける危険性が高まっているのだ。


これに対し、韓国側も米軍との共同作戦で北朝鮮の首都平壌を急襲し、正恩氏の「斬首作戦」を準備している。


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第2次朝鮮戦争は危険水域に突入した。


北緯38度線を挟んで朝鮮半島を南北に分ける北朝鮮と韓国だが、正恩氏の祖父、金日成国家主席以来、「南北統一」を互いに掲げてきた。


それがここにきて、大きな異変が生じている。


正恩氏は昨年末、朝鮮労働党の会合で、南北統一政策を転換すると表明。「朝鮮半島でいつでも戦争が起こり得る」と宣言した。


年明けには朝鮮人民軍が、黄海上の韓国との境界線付近で砲撃を行った。1月の最高人民会議では、憲法を改正して韓国を「主敵」と明記するよう指示。さらには平壌にある南北統一を象徴する高さ約30メートルの記念碑「祖国統一 三大憲章記念塔」を破壊したのである。


父親の金正日前総書記を否定するかのような正恩氏の行動は、さまざまな臆測を呼んだ。

ハマスを上回る秘密トンネル網

軍事アナリストがこう分析する。

「北朝鮮の朝鮮人民軍よりも、米国と同盟関係にある韓国軍のほうが物量的には上回っている。そこで、北朝鮮の選択肢として浮上するのが奇襲だ。北朝鮮の砲兵部隊には1時間に推定1万6000発を発射する能力があるとされる。短距離弾道ミサイルと併せて攻撃すれば、ソウルの大統領府を火の海にすることは可能です」


北朝鮮は、パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスと関係が深い。ハマスも昨年10月、イスラエルに対し奇襲を仕掛けたが、短距離ロケット弾に頼るハマスとは比べ物にならないぐらい多様な兵器を持つ北朝鮮なら、韓国により大きな打撃を与えることができるという。


ハマスはガザ地区で地下に巨大な秘密トンネル網を持っていることが話題になったが、北朝鮮も38度の軍事境界線の非武装地帯に地下トンネルを張り巡らせているとされる。


ミサイルなどの空中戦とともに、このトンネルを使って地上部隊や特殊部隊が韓国側に侵入するとの見方があるのだ。

アメリカを牽制する狙い

2010年11月には、韓国の延坪島で韓国軍に朝鮮人民軍が砲撃し、韓国側の軍民合わせて23人が死傷する事件があった。だが、現在の北朝鮮側の目標は首都ソウルの破壊だとして警戒が強まっている。

北朝鮮が持っていて、ハマスが持っていない最大の兵器が核兵器だ。北朝鮮は、戦術核を搭載できる短距離弾道ミサイルを完成させている。


一方の韓国は核兵器を保有していないため、即座の報復は難しい。北朝鮮は一気に決定的な打撃を与えるカードを持っているわけだ。


それにしても、正恩氏が韓国を敵認定し、戦争準備を進める理由はどこにあるのか。


「韓国がアメリカとの関係を深めていることに尽きる。左派色が強かった文在寅前大統領時代は、北朝鮮の後ろ盾でもある中国の顔色を窺って、アメリカと一定の距離を保ってきた。だが、保守系の尹錫悦大統領になってから、アメリカや日本と連携を深め、中国との関係が悪化している。北朝鮮にとっては、西側勢力が38度軍事境界線の自国の喉元まで迫ってくることを意味している。そこで中国やロシアを味方につけて、韓国、ひいてはその背後にいるアメリカを牽制する狙いもある」(北朝鮮ウオッチャー)

米韓は「斬首作戦」の訓練を本格化

こうした北朝鮮側の動きに、韓国側は重度の警戒態勢を敷いている。

昨年末、在韓米特殊作戦司令部所属のグリーンベレーとネイビーシールズが、韓国特殊戦司令部などと合同で2週間の訓練を実施。隊員らが暗視ゴーグルをつけて暗闇の浜辺に上陸、人型の標的を攻撃する様子も公開された。


特殊部隊が敵地へ密かに侵入して報復することを想定しており、雪上訓練や山岳訓練も行われた。正恩氏ら北朝鮮の首脳部を狙った「斬首作戦」の訓練とみられる。


「戦争が始まった場合、正恩氏を直接攻撃しなければ終わらないというのが米韓両国の認識だ。正恩氏は現在、長女のジュエ氏を引き連れて表舞台に登場する機会が増えている。ジュエ氏がミサイル発射実験や軍事パレードなど正恩氏と同行して表に出てくる機会は20回以上に上る。金日成氏、金正日氏、金正恩氏と続き、さらにジュエ氏の金王朝4代目も浮上した。金体制を終焉させなければ、北朝鮮は変わることはないと考えている」(同)


北朝鮮専門メディア『38ノース』は「朝鮮半島の状況は1950年6月初め以来、最も危険だ」とし、現在は朝鮮戦争直前の状況に近いと伝えた。戦争の危険性は、米国と韓国などへの警告をはるかに超えるレベルとみている。


2月8日の朝鮮人民軍創建日、正恩氏はジュエ氏と共に国防省を訪れ、演説を行った。


正恩氏は「有事に韓国の領土を占領するのが国是だ」と述べ、軍事的行為を辞さない方針を示した。さらに、38度の軍事境界線を初めて「国境」と呼ぶようになった。


北朝鮮は韓国全域と事実上、日本と米領グアムの両方を打撃し得る核弾頭50〜60発を保有しているといわれる。


第2次朝鮮戦争が勃発した場合、米韓が最終的に勝利したとしても、日本への甚大な被害も免れない。