(画像)Sean Pavone/Shutterstock
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北陸地方で再び震度7クラスの大地震が発生する!? 2月下旬から4月が要注意

M7.6を記録した能登半島地震から1カ月半が経過したが、2月7日朝にも佐渡付近を震源とするM5.1の地震が発生。石川県志賀町で震度4を観測した。


サイエンスライターが言う。


「能登半島地震では、4枚の活断層が4メートル以上もずれ動いたことが分かっている。その際に割れ残ったのが、佐渡沖の2枚の活断層です。もしこれが今後ずれるとM7クラス、最大震度7の大地震と3メートル級の津波が発生するかもしれないのです」


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なぜ能登沖の活断層は大きくずれ、佐渡沖のものは動かなかったのか。理由は活断層の向きにあるという。


「能登沖の活断層は南西に向いているのに対して、佐渡沖のものは北西を向いている。そのため、動きに差が生まれたと考えられているのです」(同)


気掛かりなのは、このライターが指摘する地震の発生時期だが、これまでの事例からすると最初の揺れから2〜3カ月先になることが多いらしい。


つまり、北陸地方は2月下旬〜4月の間に今一度大地震を経験する可能性が高まっているのだ。

「山が崩れるから浜に逃げろ」

しかも、この断層の真向かいに位置する新潟県上越市、柏崎市には地震発生の5〜10分後に津波が到達するとみられている。

武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏が指摘する。


「日本海側で起こる地震は北米プレートとユーラシアプレートがぶつかり合い、沿岸部に近い海底で発生する。そのため、津波到達時間が短いのが特徴で、30分、1時間と到達に時間のかかる太平洋側以上に大きな被害を招きかねない。ところが、秋田県では古くから『日本海側には大津波は来ない』『地震があったら山が崩れるから浜に逃げろ』とさえ言われてきたのです」


驚くべきことだが、こうした言い伝えから過去には痛ましい悲劇も起きていたという。


その代表例が、1983年に秋田県沖を震源に起きた日本海中部地震(M7.7)だ。この地震では、北海道から九州沿岸にかけて津波が観測されたが、震源に近い秋田県では最大14メートルもの津波が押し寄せ、浜に逃げた約100人が命を落としたという。


また、この地震から10年後の93年には、北海道南西沖地震(M7.8)が発生。同地震も日本海中部地震と同じく、ユーラシアと北米プレートの境界部を震源としたものだったが、地震や津波による死者・行方不明者が230人に上り、震源地に近い北海道奥尻島では198人が犠牲になったのである。


島村氏が続ける。


「実は、北海道から北陸にかけては『海陸断層』と呼ばれる断層が無数に存在する。海と陸にまたがるものや海と陸の境界部を走っているものもあり、これら断層が震源となることから激しい揺れや到達時間の早い津波が起こるのです」

中国地方にまで達する津波

東京大学地震研究所などの調査では、この「海陸断層」は分かっているだけで30あまり存在するといわれているが、島村氏によれば中でも恐ろしいのが「日本海東縁変動帯」だ。

別名「日本海東縁ひずみ集中帯」とも呼ばれるこの断層群は、その名の通りひずみの巣窟。今回の能登半島地震の原因となった断層もその一部にあたるが、日本列島を乗せた北米プレートの下にユーラシアプレートが潜り込む境界部に存在し、間宮海峡から北海道積丹半島沖、さらには男鹿半島沖から新潟沖にまで断続的に横たわっているのだ。


そのため、前述した日本海中部地震や北海道南西沖地震以外にも、多くの大地震を発生させてきた。


「古くは1793年に青森県大戸瀬崎沖で発生した寛政西津軽地震(M7.1)、20世紀には積丹半島地震(1940年=M7.5)や新潟地震(1964年=M7.5)などマグニチュード7クラスの巨大地震が発生している。また2019年に山形県沖で発生した地震(M6.7)も、日本海東縁変動帯を震源とするものだったのです」(科学雑誌編集者)


付け加えれば、日本海側で発生するこれら巨大地震は、太平洋側の沖合を震源として起きる東日本大震災同様、発生サイクルがあることが判明しているという。


約100年ごとに地震活動が活発な時期と比較的平穏な時期を繰り返しており、現在はちょうど活動期とみられているのだ。


気になるのは今後この巨大地震が起きた場合に、どんな被害が及ぶのかということだろう。


「震源に近い日本海側の北海道や東北地方沿岸部では、ビルや多数の木造家屋が倒壊し、火災が発生。沿岸部の海底が隆起するのに反して陸地が液状化し、被災者の避難が停滞しかねない。そこに到達時間の早い津波が襲い掛かるのです。加えて、日本海の真ん中には海底山脈があり水深が浅いため、盛り上がった津波が遠く中国地方にまで到達する。能登半島地震の被災光景が再現されるのは確実です」(前出・サイエンスライター)


ちなみに、新潟大学などが各地の地層を調べたところ、北海道奥尻島では約9000年に20回、青森県五所川原市では約8000年に9回、新潟県佐渡島では約9500年に24回も津波が押し寄せた痕跡が見つかっているという。


能登半島地震の発生と断層の割れ残り、そしてこれらのデータを加味すれば、能登から北海道までの地域で発生が懸念される巨大地震は、〝最も警戒すべき有事〟と言えそうだ。