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菅VS麻生の“代理戦争”勃発!総裁選「ポスト岸田」に急浮上した2人の実名

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自由民主党 (C)週刊実話Web 

岸田文雄首相が仕掛けた自民党派閥解消の動きは、「無派閥という名の集団」と「派閥を残したい側」との闘いにほかならない。

その〝派閥解消政局〟において復権をもくろんでいるのが菅義偉元首相で、同氏の信頼厚い加藤勝信元官房長官が「ポスト岸田」候補に急浮上している。

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これに対し、菅氏の政敵である麻生太郎党副総裁は、次期総裁選に上川陽子外相を擁立する構え。

菅氏対麻生氏の全面戦争が、いよいよ始まりそうな雲行きだ。

「派閥解消は岸田首相が勝負に出たということです。第4派閥だった岸田派(宏池会)は、派閥のくびきから逃れない限り、政界で主導権は握れません。安倍派(清和政策研究会)、麻生派(志公会)、茂木派(平成研究会)などの意向を気にせず政権運営をするには、派閥を解消するしかなかったのです」

全国紙政治部記者はそう語るが、首相が政権を支える麻生氏にさえ相談せずに岸田派の解散を表明したあたりに、覚悟のほどがうかがえる。

岸田派が解散すれば、他の派閥も解散せざるを得なくなり、派閥がなくなれば現状の権力構造が崩れ、自身に権力を集中させることも可能と首相は読んでいたようだ。

小泉進次郎までの“つなぎ役”

しかし、麻生派と茂木派は解散せずに残った。

そこで勃発したのが、無派閥組の総大将である菅氏と、派閥存続組の代表格である麻生氏との権力闘争だ。

政治部デスクが菅、麻生両氏のバトルについて語る。

「首相の座が近づいてきたとばかりに鼻息を荒くしている石破茂氏を次期総裁候補にかつぎ上げる気は、菅氏にはありません。そもそも石破氏では支持の広がりが期待できない。菅氏と良好な関係にある河野太郎デジタル相も同じく党内の支持基盤が弱すぎる。小泉進次郎元環境相にはかなりの期待をかけていますが、まだ若すぎます」

そこで小泉氏が成長するまでの〝つなぎ〟として、菅氏が総裁を託そうとしているのが、菅政権時代の官房長官、加藤勝信氏なのである。

加藤氏は加藤六月元党政調会長の娘婿として知られているが、旧大蔵省出身とあって政策に明るく、党内では厚生労働族の中心的存在だ。

ただ、地味なのが玉にきず。茂木派所属ということもあり、「茂木氏を差し置いて総裁候補に名乗り出るわけにもいかず、派閥を出ない限り、総裁にはなれない」(茂木派関係者)言われてきた経緯がある。

その茂木派も、小渕優子党選対委員長や青木一彦参院議員らが退会し、弱小勢力に陥落。「茂木氏が首相になることは、もうあり得ない」(同)との見方がもっぱらで、逆に加藤氏にとっては動きやすい環境になったとも言えるのだ。

また、現在発売中の月刊誌『文藝春秋』3月号には萩生田光一前政調会長、加藤氏、武田良太元総務相へのインタビュー記事が掲載されている。

その中で加藤氏は、司会者から「永田町では『ポスト岸田』として加藤さんに期待する声も上がっていますね」と振られ、こう答えている。

「そう言っていただけるのはありがたいですが、今はまず足元を固めていきます。同時にこれからの日本に何が必要で、そのためには何をしていくべきかをしっかり議論し、必要な行動を取っていくことだと思います」

「必要な行動」が総裁選への出馬を指しているのかは定かでないが、首相になることへの意欲は隠していない。

さらに司会者から「派閥解消が進んだ方が、動きやすくないですか?」と問われ、「答えはなかなか難しいですね(笑)」と応じている。

答えづらいところではあるが、否定していないところが回答のミソだ。

「閣下が褒めたということは…」

一方、菅氏の思惑を敏感に感じ取っているのが、麻生氏だ。

麻生氏といえば今年1月末に福岡県芦屋町で行った講演で、上川陽子外相を俎上に載せ「俺たちから見てても、このおばさんやるねえと思った」「そんなに美しい方とは言わんけれども、英語できちんと話をし、外交官の手を借りずに自分でどんどん会うべき人に予約を取っちゃう」と語り、世間から批判されたのは周知の事実である。

立憲民主党などの野党は、麻生氏発言を聞き流した上川氏を「なぜ抗議しないのか」と批判しているが、するはずはないのである。

麻生氏周辺はこう語る。

「閣下(※麻生氏は永田町でそう呼ばれている)は人のことをめったに褒めません。褒めたということは、ポスト岸田として上川氏を推すことを決めたということ。そもそも昨年9月の内閣改造で上川氏を外相に押し込んだのは、ほかならぬ閣下ですから」

そう、麻生氏はもはや岸田首相を支える気はほとんどなく、気持ちは上川氏に傾いている。

政治とカネをめぐる問題で、支持率が低迷したままの岸田政権をこれ以上支えるわけにはいかず、ましてや派閥解消の相談もしてこない首相を支える義理もない。これこそが麻生氏の本音なのである。

岸田派担当記者は「上川氏も首相になることをまんざらでもないと思っているようで、麻生氏の後ろ盾を失いたくないと思っている。だから容姿をけなされても黙っているのです」と話す。

政治とカネをめぐる問題の影響で、9月末の任期満了に伴う次期総裁選に岸田首相はもはや出馬できないだろう。

その前に衆院解散できるかどうかも危ういとなれば、次期総裁選で軍配が上がるのは加藤氏か上川氏か。菅氏対麻生氏の〝代理戦争〟は、今後ますます熱を帯びそうだ。

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