
去る2月8日、ソフトバンクグループ(SBG)は2021年3月期の決算が、過去最高となる3兆円超の純利益を記録したと発表。これを背景に、同社の孫正義会長兼社長はプロ野球参戦時から温めてきた「日米ワールドシリーズ」開催に踏み込むようだ。本誌が入手した情報によれば、同社が費用を全額負担し、目指すは「ハワイ決戦」――!!
コロナ禍で日本中の企業が打撃を受ける中、大きく業績を伸ばしているのが、孫正義氏が率いるSBGだ。2020年4~12月期の純利益は日本企業で過去最大の3兆552億円。世界的な株高を受けて保有する海外IT株が値上がりし、投資利益が巨額に膨らんだ。
従来は携帯電話が事業の柱だったが、近年は投資事業にスイッチ。様々な大企業を内包する巨大組織に変貌している。
孫氏の言葉を借りれば、
「たかだか3兆円の利益が出て、有頂天になるつもりはない。(調達した資金の用途は)AI(人工知能)革命に集中する」
先ごろグループ傘下、ZホールディングスのヤフーがLINEと経営統合。ここを主戦場にジャパンネット銀行、前澤友作氏が創業したZOZO、アスクルなどをさらに発展させ、アメリカのグーグルを含む「GAFA」や中国のオンライン通信最大手アリババなど、巨大IT企業を追撃する戦略だ。
ヤフーサイトの年間利用者は8000万人、LINEの月間利用者は8600万人と言われ、すでに1億人規模の経済圏を獲得しているSBGだが、マーケットを国内外に広げるため、これまで温めてきた〝ある計画〟の実行を指令したという。世界的な証券会社の関係者がこう話す。
「04年にプロ野球に参戦以来、孫氏がずっと目標に掲げてきた日米ワールドシリーズの実現です。3兆円の純利益が出たことで、100億円規模の調査費を盛り込んだという情報がある。大企業が孫会社、ひ孫会社として次々増えている孫氏にとっては、このくらいの資金は容易に差配できます」
AI開発の投資の一環という位置付け
本誌が入手した情報によれば、メジャーリーグ(MLB)王者とプロ野球王者がガチンコ対決する「日米ワールドシリーズ」は、移動面と時差を考慮し、ハワイで開催。今年はコロナの終息が見込めず、来年以降の実施を目指すという。
新しい生活様式に合わせ、観客席はメディアと選手家族など最小限にとどめ、試合はすべてインターネットで配信。コロナ禍でネットを使った動画配信サービスが急激に伸び、これを「ヤフー&LINE」の拡大につなげる狙いもあるようだ。
「特筆すべきは、日米ワールドシリーズにかかる諸費用を、SBGが全額負担すると申し出ていること。これには選手会などで賛否両論あるようですが、緊縮財政を迫られている日米のコミッショナーサイドには、好意的に受け止められているようです」(同)
とはいえ、日米ワールドシリーズが開催されたとしても、ソフトバンクが出場するとは限らない。それでも孫氏が費用を全額負担して世界一決定戦開催を目指す理由は、先の発言が示すように「AI開発」にある。「AI開発の投資の一環」という位置付けなのだ。
4年連続日本一に輝き、国内最強の戦力を誇るソフトバンク。しかし、選手の総年俸は約60億円。これは12球団平均のおよそ2倍で、日本球界ではトップだが、MLBには遠く及ばないのが現実だ。メジャーリーグの金満球団の年俸総額は200億円を優に超えるのである。
「選手層では到底敵わないが、AIを活用すればMLBを凌駕できるというのが孫氏の考えです。人類の進化は火に始まり、農業、そして産業革命で自動車、電気、インターネットと続き、いま最も大きな革命はAIだと。それを、日米ワールドシリーズの舞台で証明したいのです」(同)
巨人が2年連続4連敗した原因
柳田悠岐、松田宣浩、今宮健太、森唯斗選手などがおり、国内屈指のスター軍団と言われるソフトバンクだが、チームの特長は、根幹を成す育成出身選手の存在にある。エースの千賀滉大投手をはじめ、正捕手としてチームを支える甲斐拓也捕手、今季の開幕投手に決まった石川柊太投手、盗塁王の周東佑京内野手、俊足の牧原大成内野手など、みな育成の厳しい環境から這い上がった選手たちだ。
各球団とも、ドラフト1位選手の契約金が1億円なのに対し、彼ら育成入団組の契約金(支度金)はたった250万円程度。甲子園の出場歴などは度外視され、AIが各人の走攻守の潜在能力を分析し、「40人採って1人化ければいい」という基準で入団させた選手たちなのだ。
入団後はAIで映像をデータ化して分析するトラッキングシステムを使い、個々の育成メニューで一芸に秀でた選手に育て上げる。
「AIデータの活用というと、MLB球団が開発し、日本の球団も多用する投打の弾道を計算するトラックマンシステムが有名だが、ソフトバンクが導入しているAIはこんな次元ではない。投手を含めた守備9選手と打者、走者の1人ひとりに担当の〝AIスコアラー〟が付き、あらゆるデータを混じえて瞬時にベストの判断をくだすもので、自社のゲームソフト開発者を使って効果を上げている横浜DeNAの比ではないという。優秀なAI研究者を揃えるSBGが総力を挙げて野球活用に取り組んでいる」(スポーツ紙デスク)
巨人が日本シリーズで2年連続で4連敗した原因は、実はここにある。総帥・孫氏は日米決戦でその実力を示そうとしているのである。
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