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“二刀流”を先取りしていた阪神・岡田監督~島田洋七『お笑い“がばい”交遊録』

島田洋七
島田洋七 (C)週刊実話Web

昨年、阪神タイガースは38年ぶり2度目の日本シリーズ制覇を成し遂げました。その瞬間、俺の頭の中では、岡田彰布監督の頭の良さと、一緒に飯を食ったときの言葉が浮かんだんです。

俺は売れていない若手の頃から南海や西武で活躍した黒田正宏さんに可愛がってもらっているんです。2004年からの第1次岡田政権下、黒田さんは阪神の球団編成部長を務めていた。


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「阪神とソフトバンクの交流戦が福岡ドームであるから飯でも食おう」と黒田さんから連絡があったんです。

黒田さんは「後輩を連れて行くわ」。当日、魚が美味しい福岡の高級居酒屋に一緒に姿を現したのが岡田監督で驚きましたね。後輩なのは間違いないだろうけど、監督ですよ。

黒田さんは西武時代にも「同業者を連れて行く」と言って、寿司屋に連れてきたのが石毛宏典選手だったことがあったんです。野球の世界にずっといるから、いちいち監督だの選手だのとこだわらないようなんです。

店では岡田監督と「九州の魚はやっぱり美味しいですね」などと会話を交わしていた。俺は子どもの頃から野球をやっていたし、今でもテレビや球場で試合を見る。

シーズン前のキャンプにまで足を運ぶほど大好きなんです。だから「中学くらいからめちゃくちゃ野球上手かったんですか?」と岡田監督に尋ねると「そこそこだった」。

岡田監督は早稲田大学卒。当然、野球推薦で入学したものと思い聞いてみると、「そこだけは言わせてほしいんですけど、一般入試で合格して入ったんです」。「頭良かったんですね」と感心している傍で黒田さんも「そうやねん」と同意していましたね。入学後に野球部のセレクションに合格したらしいんです。

早大一般入試合格の頭の良さに感心

その後、黒田さんと岡田監督は野球の話ばかりしていましたよ。「明日の先発は誰にしましょうか?」、「交流戦やからな。でも、勝たないといかんしな」なんてね。

そんな会話が10分くらい続くと、急に岡田監督が「なかなか決まらないから、明日は俺が投げようかな」。黒田さんも「監督が投げたら、俺が2番手で行くわ」。

岡田監督は大阪、黒田さんも兵庫・姫路出身だから関西の笑いのノリでした。

すると、岡田監督から「漫才で売れたんだから、洋七さんも勉強ができたんでしょ?」と聞かれ、「学校の勉強と人を笑わせる頭の良さは違うんですよ」、「紳助さんだってあれだけのトークができるんだから良い学校出身でしょ?」、「いや、普通の学校ですよ」。そんな会話をしたのを覚えています。

お笑いの場合は、誰が売れるかなんてまったくわからないですからね。

岡田監督に「勉強もできて、プロ野球選手でも成功したから人生バラ色ですね」と振ると「たまたまです」と言うんです。

ミスター赤ヘルこと山本浩二さんにも俺は可愛がってもらってますけど、浩二さんをはじめスター選手はみんな「運が良かった」とか「たまたま」とよく口にするんです。

謙遜しているだけかもしれないですけどね。

それにしても、岡田さんは勉強で早稲田大学に入り、選手時代は長い間、阪神のクリーンアップを担い、監督になったら日本一ですよ。

今で言う二刀流を先取りしていたんですよね。

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