(画像)wakamatsu.h / Shutterstock.com
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楽天イーグルス売却先にKDDI浮上 三菱商事とのローソン共同経営で「東北auイーグルス」誕生か

2025年、創業50年の節目を迎える大手コンビニエンスストアのローソンは、首位セブンイレブンと2位ファミリーマートと店舗数や商品力で激しい競争を繰り広げているが今回、反転攻勢に出た。


同社の株式は、親会社の三菱商事が50.06%を所有し、あとは10%未満の企業ばかり。携帯電話auのKDDIは2.11%。そんな中、三菱商事、KDDI、ローソンの3社は2月6日、資本業務提携契約を締結した。


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ざっくり言えば、KDDIがローソンに対し、友好的な株式公開買い付け(TOB)を行い、残りの約48%を約4971億円で取得するというもの。成立後、ローソンは上場を廃止。三菱商事とKDDIが議決権を50%ずつ持ち合って共同経営となる。


「この発表と同時期に球界に流れたのが、KDDIのプロ野球進出情報です。参戦となれば、モバイル事業の眼下の敵であるソフトバンクに負けられない。日本最大級の補強が必至で、期待感が高まっている」(スポーツ紙記者)

「GAFAL」を目指す三菱商事の次の一手

ローソンは現在、業界3位の約1万4600の実店舗を持ち、1日の利用客は1000万人といわれる。そこに6100万人のau契約者が合体すれば、日本最大級の経済圏が誕生する。

プロ野球に進出した場合、球団の名称にauを入れるか、ローソンにするかは微妙だというが、受け入れの環境はある。


手っ取り早いのは、今季から二軍限定ながら新規参戦する『オイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ』もしくは『くふうハヤテベンチャーズ静岡』の買収。しかし一軍参加は未確実だし、3社連合の狙いにもそぐわない。


世界一の総合商社である三菱商事は、今回の業務提携について「GAFA(ガーファ=グーグル、アマゾン、フェイスブック【現メタ】、アップル)」にローソンの「L」を加えた「GAFAL(ガーファル)を目指す」と説明する。


「上流から三菱商事が食品や市場を流し、ローソンの実店舗とKDDIの通信技術、DX(デジタルトランスフォーメーション)をかけ合わせて未来のコンビニを創り、それをアジア全般に展開する戦略。その広告塔ですから、日本一を狙える既存球団の買収になるでしょう」(経済評論家)


ここで極めて現実的なのが、昨年来、球団売却の情報が噂される『東北楽天ゴールデンイーグルス』だ。


楽天モバイルとKDDIに深い関わり

楽天グループは2024年に約3200億円、25年には約4700億円の社債返済の期間を迎える。しかも、KDDIとは縁浅からぬ関係でもある。

楽天市場と楽天カード、楽天銀行が好調な親会社の楽天グループが資金繰りに苦慮するのは、携帯電話事業の苦戦が原因だ。基地局の建築費が1兆円規模に膨らみ、携帯電話とインターネットの接続が集中する東京、大阪のエリアではKDDIの回線を借りて運用している。


「基地局整備にKDDIへのローミング料が加わり、他部門の収益を食いつぶしているのが実情。空前の株高が続く中、楽天グループの株価は低迷を続け、この3年で時価総額が半分に目減りした」(楽天グループ関係者)


株主から「モバイル事業を手仕舞いすれば、新たな赤字は生まれない」との声もあるが、三木谷浩史会長兼社長CEOは「楽天モバイルの契約数(522万=23年9月末)は増えている。黒字化は可能だ」と反発している。


しかし、同時期のNTTドコモの契約件数は8850万、auは6595万、ソフトバンクは5395万。このまま株価の低迷が続けば、株主から退任を求められたり、ハゲタカの餌食になる可能性がある。


KDDIは他方で楽天の携帯電話事業を引き受けても追加コストはかからない。あとはいかに楽天から有利な条件を引き出すかだが…。


「その落としどころが楽天球団の譲渡だと。今回の球団売買の噂も実はここが火元です」(前出・スポーツ紙記者)


サイバーエージェントへの球団譲渡が不透明に

楽天グループのメインバンクは、三木谷氏の出身バンクの流れを汲むみずほ銀行。大手商社の伊藤忠商事および、その子会社のファミリーマートとの関係が強いのはそのためだ。

そう考えると、三菱グループへの球団売却は困難との見方もあるが、状況が変わった。その理由は三木谷氏と縁が深いサイバーエージェント(藤田晋社長)への球団譲渡が、不透明になったからだ。


サイバー社は今季J1に初昇格した『FC町田ゼルビア』の親会社。同時進行でのプロ野球進出は困難との判断だ。


そこで売却先にKDDIが浮上したのだが、そこには楽天本体の乗っ取りもある、という〝無言の圧〟が透けて見える。


「楽天グループの三木谷ファミリーの現在の持ち株は約3割。もし、三菱商事とKDDIが20%程度のプレミアムを付けて敵対的TOBを行えば、三木谷楽天は出城の東北楽天どころか本丸が落城してしまう。差し出さざるを得ないのではないか」(経営アナリスト)


KDDIのローソンへのTOBは4月にも完了予定。次の一手「楽天球団買収」は、今オフが予想される。