菅義偉首相が3月3日、東京、神奈川、埼玉、千葉の首都圏4都県に発令中の新型コロナウイルス緊急事態宣言に関し、7日の期限を2週間程度再延長する意向を表明した。これまで首相は7日までで全面解除する意欲を示してきたが、軌道修正した形だ。
公衆衛生が専門の医師で作家の外岡立人氏が言う。
「第1波~第2波、第2波~第3波の小康期での日々の発生感染者数と比較すると、現在の感染者数はいまだ数倍~10倍近くある。現在の状態は収束に向かっているのか、それとも小康状態なのか、今のところ分かりません。大阪のように、鋭く減少している地域もあるが、東京などは鈍化が顕著です。今の状況を第4波の萌芽と見ることもできる。目に見えない無症状感染者や軽症者が水面下に多いのか、それとも季節的に感染者数が減ってきているのか、はたまたウイルスの感染力が落ちてきているのか、現象面を数値だけではなく、世界各地の状況とグラフ上で比較すべきです」
では、世界の感染状況はどうなっているのか。
「米国は新年以降、日々の発生感染者数が顕著な減少を示したが、最近は減少数が停滞し、むしろ増加傾向が出てきている。カナダは予想外に感染数減少が鈍化しだしているものの、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアなどは、感染者数発生が1日1万人を超え、減少率は停滞している。一方、変異種が生まれた南アフリカは国内での拡大状況は順調に収まってきています。AFPの統計によれば、世界中の新規感染者数は過去1カ月で44.5%減少した反面、再拡大の兆候も見られます」(外岡氏)
“もう大丈夫”に潜む落とし穴
2月17日、日本でもようやく新型コロナウイルスワクチンの接種が始まった。ワクチンの効能について外岡氏に聞くと「かなり有効」とのこと。感染者が減り、ワクチン接種も開始されたとなると、日本国民の多くは〝もう大丈夫〟と錯覚してしまうのではないか。
実は、そこにこそ落とし穴が潜んでいるのだ。
「無症状だが、確実に罹っている。そういう人が水面下にいて、それを放置しておくと再拡大する恐れがある。これまで流行していた地域には泡沫クラスター(無症状、軽症)というべきものが多数存在します。大都会であればあるほど多い。行政はPCR検査をもっと積極的に行い、そうした泡沫クラスターをすくい取る必要があるんです。ここで感染予防体制を緩めると、国内の感染状況は一気に拡大する可能性があります」(外岡氏)
イギリスの遺伝科学者の間では、「変異株との戦いは10年かかる」という予測がある。というのも、同国で確認された初の新型コロナウイルス変異株はさらに変異しており、いずれワクチンの効果を阻害するかもしれないのだ。
「さる遺伝科学者は英国公共放送のBBCの取材に対し、ロンドン近郊ケントで確認された感染力の強い変異株について、『ワクチンがこれまでのところ効果を発揮しているが、再び突然変異を始めており、ワクチン効果を脅かす恐れがある』と語っています」(サイエンスライター)
第2波のときのような失敗は許されない
英政府の科学諮問委員会は国内で新たに2種類の新型コロナ変異株が確認され、うち1種類は南アフリカ型とブラジル型に類似しており、今後「懸念される」と発表。ジョンソン首相は「ウイルスの突然変異に合わせて、繰り返しワクチン接種が必要になるだろう」との見解を述べているほど。
「多数の変異株流行国において、感染者数は激減しています。米国は先ほど述べたように、最近、減少率は鈍化しているが、感染者数は確実に減った。南アフリカの変異株は感染力が強く、年少者にも感染力があるとされるが、南アフリカでは発生して感染者数が増えたものの、流行収束は早い。この変異株は今、世界を回っている。感染者数のグラフを見ていると、感染力は意外と弱いのかもしれません」(外岡氏)
世界的に見て感染者数は減少している。日本でもコロナ疲れで娯楽、レジャーなど羽を伸ばしたい日本人にとっては、ワクチン接種が始まったというニュースは気の緩みを加速させるに違いない。
さらに、外岡氏が指摘するように大都会に存在する泡沫クラスターの放置が、第4波の引き金になるのではないか。
西村康稔経済再生相は『GoToトラベル』の再開について、政府の分科会が示す感染状況のうち「ステージ2(感染漸増)まで抑えられていることが条件になる」との認識を示している。
「ワクチン接種は始まったばかり。すべての人に行き渡るのはずっと先のことです。ワクチンが発症と重症化の予防に効果を発揮するといっても、接種する前に感染してしまっては本末転倒です」(社会部記者)
「新型コロナは緩めるとすぐに拡大する。第2波のときのような失敗は許されません」(外岡氏)
油断大敵だ。
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