(画像)Aleksandra Tokarz/Shutterstock
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呪われた大阪「関西万博」延期へのカウントダウン“万博凍結”6月解散説も浮上

2025年4月13日開催に向け、急ピッチで準備が進められている大阪・関西万博が、元日に起きた能登半島地震によって危機に陥っている。


政財界の一部などから「延期・中止」論が高まっているのだ。


2月1日、国会で延期・中止の可能性を問われた岸田文雄首相は否定したが、次から次に降りかかる難題・災難に、関係者の間からは「大阪・関西万博は呪われている」という嘆息さえ漏れてきた。


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まずは、どれほど難題が山積しているかを時系列的に見ていこう。


大阪万博が正式に決定したのは、フランス・パリで18年11月に開かれた博覧会国際事務局(BIE)総会だ。


大阪府政関係者がこう述懐する。


「当時の吉村洋文大阪市長と松井一郎府知事の維新コンビが旗振り役として、パリでのBIE総会でライバルのロシアなどを蹴散らし、大阪開催を手に入れたのです。その後、万博跡地の人工島・夢洲にはカジノを含む統合型リゾート建設も決まった(23年4月)。その経済効果は万博が約3兆円、カジノは約1兆円規模。大阪万博とカジノ誘致は維新躍進の原動力となった。21年10月に行われた衆院選で日本維新の会は11議席から41議席と大幅に議席を増やしたほど。今や維新は野党第1党の立憲民主党を脅かす存在ですよ」

松本人志のスキャンダルも痛手

ここまでは維新にとって大阪万博は神様、仏様。風向きが変わったのは、22年2月に起きたロシアのウクライナ侵攻からだ。

「ロシアの侵攻を非難する欧米や日本は、制裁としてロシアとの取引を停止した。世界屈指の原油と天然ガス産出国がロシア。その資源をロシアに大きく依存していた欧州や日本は未曽有のエネルギー危機に見舞われ、これがあらゆる物価高騰につながったのです」(経済アナリスト)


かくして、日本国内の物価は軒並み高騰。当然、建設業界にも波及し万博を直撃した。


例えば、会場建設費は当初1250億円だった試算が、20年には1850億円。さらに昨年は2350億円と当初の約2倍にまで膨れ上がったのだ。


「建設資材の高騰は、大阪府・市が手掛ける大阪パビリオンの建設費を見れば一目瞭然です。大阪は当初74億円を想定していたが、第1優先交渉権者に選ばれた竹中工務店の提案額は、なんと195億円と約3倍近かった。議会などで批判を浴び、慌てた竹中工務店は設計や部材変更で大幅に費用を圧縮、やっと議会の了承を得た。それでも当初の想定より25億円高い99億円です」(府政担当記者)


万博関係者が嘆く。


「予期せぬロシアのウクライナ侵攻と円安のWパンチに見舞われたところに、ダウンタウンの松本人志騒動です。万博の広告塔の役目を担うアンバサダーをダウンタウンにお任せしているのに、松本が複数の女性への性的強要を週刊文春に報じられた。文春側を提訴した松本は、裁判に注力するため活動休止中。シロクロつくまでは相当な時間を要する。松本が万博アンバサダーに復帰するのは夢のまた夢になりました」

政財界からも批判の声

さらに、元日に能登半島を襲った震度7の大地震。すでに、倒壊した家屋などの復旧に駆り出される建設関係者の人員不足が表面化している。

これにいち早く反応したのが、経済同友会の新浪剛史代表幹事。サントリーホールディングス社長の新浪氏は日本国際博覧会協会の副会長でもある。


新浪氏は1月5日の会見で「被災者への対応が最優先」と強調。資材や人材が万博にメイン投入されることで震災復興の妨げになってはならないとの認識を示したのだ。


高市早苗経済安保担当大臣も、延期や縮小を岸田首相に進言した。


「高市氏や新浪氏は首相と密かに通じた上でのアドバルーンの可能性もある」(政界長老)


では、岸田首相は一連の動きをどう捉えているのか。


首相は2月1日、国会で大阪・関西万博の「中止延期は必要ない」として、震災救援との二面同時推進を強調した。


「自民党の政治資金裏金問題で首相は岸田派(宏池会)解散という一か八かの大博打に出た。その後の世論調査での内閣支持率は前回と横ばいか微増。首相は次の一手を模索し始めていますよ」(岸田側近)


この側近によると、岸田首相が切り札と考えているのが「万博の延期・中止・凍結」ではないかという。


「大阪府・市が昨年末に実施したアンケートでは、『万博に行きたい』と答えた人の割合が33.8%と、1年前より7.4ポイントも減少する驚きの結果が出た。調査は能登地震前。地震後はさらに万博否定論が強まっているはずです」(全国紙政治部記者)


2300万枚販売予定の万博チケットも、1月末で約40万枚しかはけていない。


「首相はこの事態を考慮し、万博延期や凍結を今国会で決断するハラを固めつつある。震災復興・復旧優先の延期・中止なら国際社会の理解も得られやすいと踏んでいるようです。首相のアメリカ国賓訪問が4月。それ以降の6月に〝万博凍結解散〟があるかもしれない」(同・記者)


政治利用されるのなら、万博はやはり呪われている。