蝶野正洋 (C)週刊実話Web
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蝶野正洋『黒の履歴書』~オカダカズチカ選手が電撃退団

オカダカズチカ選手が新日本プロレスを退団することを発表した。キャリア約20年、36歳というタイミングで、新たなことに挑戦するには今しかないと考えたのかもしれない。


トップ戦線で活躍する看板選手だっただけに、新日本プロレスとしては影響も大きいと思う。


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オカダ選手は(アントニオ)猪木さんが亡くなってから、その意思を継ぐような発言もしていたけど、あれは会社から背負わされただけだったのかもしれないね。


今回は電撃的な退団劇となったけど、棚橋(弘至)選手が新たに新日本プロレスの社長になってすぐの出来事だったこともあって、社内の混乱も伝わってくる。


社内の人事や各選手の動向や意思を棚橋選手は、ちゃんと把握しているのだろうか。棚橋選手のプロレスラーとしての師匠は藤波辰爾さんだけど、社長業のほうはドラゴンイズムを継承しないほうがいいと思う(笑)。


オカダ選手の移籍先は海外団体とささやかれているけど、新興のAEWなら新日本プロレスとつながりがあるから、今後もビッグマッチのときに来日して、試合をすることもあるかもしれない。


外敵のような扱いになって、ヒール系のユニットを組んで攻めてくるとかね。俺が昔やっていたことに近くなってしまうけど、オカダ選手には意外と合っているかもしれない。


WWEに移籍となると、アメリカに腰を据えて活動することになるから、日本マット界とは距離を置くことになる。オカダ選手には奥さんも子供もいるから、家族で移住して向こうで生活の基盤を築いていくことも想定しているだろうね。

白黒ハッキリつけない政治家に喝!

ただ、WWEも親会社が代わってUFCと合併したり、創業家のボスとして取り仕切っていたビンス・マクマホン氏がスキャンダルで退任することになったりとガタガタしているから、会社内部の状況も刻一刻と変わっていると思う。

デカい組織だから派閥もあって、そこで誰についてどう立ち回るかも重要になってくる。


派閥といえば、日本の政治も派閥問題でガタついている。自民党の政治資金パーティーをめぐる問題で、岸田首相が会長を務めていた岸田派の解散を表明し安倍派、二階派なども続いた。


政治家たちは簡単に解散と言うけど、実質的にはあり得ない話だと思うんだよ。民主主義というのは数の論理なんだから、派閥を否定したら政党も意味がなくなってしまう。


同じ方向性の考え方を持った人間が集まって、影響力や発言力を強めていくというのが日本の政治スタイル。だから、ここで解散したところで、名前や体制を変えて、また派閥のようなものを作ることは、誰もが予想できる。


そもそも、取り沙汰されていたのは派閥が悪いのではなくて、キックバックによる裏金作りが問題だった。それを改めて新しいルールを作り、今後は収支報告をオープンにすればいいだけなのに、派閥の解体まで話が進んでしまったのは、逆にもっと大きな何かを隠そうとしてるんじゃないかと勘ぐってしまうよ。


白黒ハッキリつけないで、グレーのままウヤムヤにして幕引きにするのは、いかにも日本的な結末だよ。


何か問題があったら、リング上で試合をして勝ち負けをハッキリさせるだけ、プロレス界のほうがマシかもしれないね。
蝶野正洋 1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。