立浪中日で“大将”と“番長”の威勢争い勃発!最大派閥となった大阪桐蔭系「中田組」
沖縄・北谷の中日キャンプで懸念された「大将」と「番長」の威勢争いが始まり、チーム内に緊張が走っている。大阪桐蔭とPL学園の代理戦争の構図だ。
大将とはこのオフ、巨人との契約破棄の権利を行使し、中日入りした打点王3回、通算303本塁打の中田翔で、二刀流で揺れる根尾昂の大阪桐蔭の先輩だ。
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番長とは歴代5位の525本塁打を放った清原和博氏。こちらは中日の立浪和義監督と片岡篤史ヘッドのPL学園時代の2学年先輩で、〝舎弟〟の背後で大将に圧をかけている。
清原氏は「とにかくファイティンです。立浪監督が決めることだが、4番を打つ力は十分にある」。中田も「気にかけていただけるのは本当にありがたい」。ともに言葉は謙虚だが、オーラがぶつかり合い、異様な熱気に包まれている。
「ここ3年、沖縄キャンプで清原氏は臨時コーチを買って出ているが、球団の要請ではない。一方、今年は今中慎二氏(大阪桐蔭OB)をオフィシャルで臨時コーチに招いた。この差が、現在の立浪監督の立ち位置を表している」(中日担当記者)
伏線はあった。昨秋のコーチ人事だ。立浪監督は補強より先に来季陣容に意欲を燃やし、清原氏のヘッドコーチでの入閣に動いた。
PL学園勢の派閥独占に反発?
「ドラ打線を仕切るには、星野仙一監督時代の島野育夫ヘッドのような選手に睨みを利かせる人が必要だと。中田獲得に先手を打ったのでしょう」(同)一部スポーツ紙に「清原ヘッド」の大見出しが踊ったが、本社サイドが突っぱねた。一、二軍監督に加えてヘッドもとなれば、トップ3をPL勢が独占。閣外にいる山本昌や山﨑武司らの生え抜きOBが反発するし、ファン離れも加速する。
「親会社の中日新聞が抱えるのが、根尾昂の伸び悩み問題です。春夏甲子園を制覇し、ドラフト1位で入団した地元スターが、監督の方針で内外野と投手を行ったり来たり。出身地の岐阜県内の部数が減少している、と新聞販売店から苦情が出ている。そこで、あるOBに対PL勢の新たな戦闘集団作りを託したのです」(新聞関係者)
あるOBとは沢村賞投手で、今キャンプで臨時コーチを務める今中氏(1988年ドラフト1位)。大阪桐蔭初のプロ野球選手でPL学園の立浪監督(87年ドラフト1位)の1学年下。そこから一気に進んだのが、大阪桐蔭出身の中田翔の獲得だ。
中田翔の中日入りで派閥が変わる?
恩義ある原辰徳監督の退任に伴い、巨人に自由契約を自ら願い出て、2年総額6億円で中日に移籍。絵を描いたのは今中氏とみる球界関係者は多い。狙い通り、中田の加入で今キャンプでは自由闊達な新風が吹いている。中田は丸刈りを金髪に染め上げたド派手な姿で沖縄入り。その夜には、ダブルエースの大野雄大、柳裕也らの投手陣、巨人から移籍した中島宏之、上林誠知(元ソフトバンク)、山本泰寛(元阪神)らが食事会を開き、〝大将〟を歓迎した。
スポーツ各紙によれば、その席で中日では中田を〝ショウさん〟、カシラ格の中島を〝ナカジさん〟と呼ぶことなどを申し合わせたという。
この2年、打線の援護がなく泣かされ続けた投手陣が、こぞって中田のシンパに変身。現役ドラフトでDeNAから獲得した細川成也やビシエド、大島洋平の4番候補、期待の若手である21歳の岡林勇希、22歳の石川昂弥、新戦力のドラフト2位ルーキー津田啓史(三菱重工East)らの野手陣は、大阪桐蔭で中田の2学年先輩だった平田良介氏が手懐けている。
中日派閥が変化していった歴史
ドラゴンズは歴代、中京大中京、東邦、愛工大名電、享栄の愛知私学4強が中心だった。それがPL閥に移り、中田加入と今中の後押しで大阪桐蔭が最大派閥に。事実上の〝中田組〟を結成した。当初は子どもの教育を考えて、本人の希望で単身赴任していた中田が、名古屋に家を購入し、家族で越してくる――その情報を得て清原氏は、〝お家の一大事〟と急ぎ沖縄に駆け付けたとみられる。
球団史上初となる2年連続最下位で挑む今季は、立浪監督にとって3年契約の最終年。昨季の観客動員数はリーグ連覇の2010、11年に匹敵する218万3950人(12球団中5位)。球団の信頼は厚いが、V逸なら進退を問われるのは必至。
その点、中日には大野、柳、涌井秀章、小笠原慎之介、髙橋宏斗と、打線次第でいずれも2ケタ勝利を挙げられる黄金先発陣(チーム防御率3.08は昨季リーグ2位)がおり、絶対的守護神のマルティネスも控えている。
課題だった得点力(両リーグ最下位の390)も決定力のある中田のバットで解消すれば、13年ぶりの優勝も狙える。
立浪監督も「ようやく戦える状況が整ってきた。今年はしっかり勝負をかけたい」と話すが、大阪桐蔭系中田組でのV奪回は〝痛し痒し〟だろう。
今季の中日は1月の新人合同自主トレでドラ1ルーキーの草加勝投手(亜大)が右肘に違和感を訴え、靱帯再建のトミー・ジョン手術を受けた。復帰には1年以上要するとみられ、故障を見抜けなかった立浪監督の責任を問う声も強い。
その逆風を中田の統率力で一掃してほしいものだが、過去には巨人時代の番長が最強派閥〝清原組〟の結成でチーム内が分断したケースもある。元々、素行には問題のある中田大将。番長清原の二の舞いとならないことを願うばかりだ。
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