大相撲初場所の優勝決定戦で横綱照ノ富士に敗れたものの、13勝2敗の好成績を収めて、技能賞を獲得した関脇琴ノ若(26、佐渡ヶ嶽部屋)が1月31日、大関に昇進した。
琴ノ若は母方の祖父が「猛牛」と恐れられた元横綱琴桜、父が元関脇琴ノ若(現佐渡ヶ嶽審判部長)という大相撲界きってのサラブレッド。そのため、この〝御曹子〟の大関昇進には二所ノ関一門をはじめ、角界全般にお祝いムードが漂っているのである。
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伝達式で口上を述べた琴ノ若は「うれしいの一言。やっと(兄弟子たちの昇進で)見てきた光景を自分でできるようになった」と満面の笑みを浮かべた。
師匠であり、父親でもある佐渡ヶ嶽親方も、自分が手塩にかけた大関だけに感慨もひとしお。
「こういう日がやって来るとは。父親としても、師匠としても、最高にうれしい」と涙目になりながら喜びを噛みしめていた。
若貴の前例を危惧する声
また、琴ノ若は生前の祖父と「大関になったら琴桜襲名を許す」との約束を取り交わしていたが、関脇で終わった父親をおもんぱかって「まず1場所、しっかり(琴ノ若で)取って、そのあと琴桜を継がせていただく」と、新大関デビューの春場所は琴ノ若、その次の夏場所から琴桜を名乗る意向を表明した。
この心温まる逸話に、「非情な勝負社会である相撲界の親子関係は独特で、感情のもつれやトラブルがつきものだが、この親子に限っては大丈夫」との声も聞こえるが、相撲界の内情に詳しいOB力士はこう指摘する。
「琴ノ若は大関止まりで満足するのではなく、もう一つ上の横綱昇進を期待されている。当然、これから関脇止まりの父親には立ち入れないプレッシャーや心の葛藤が生まれ、疎ましくなったり、対立したりするはず。若乃花、貴乃花親子を見よ、ですよ。大関止まりの父親を超えて横綱になった途端、親子、兄弟関係がおかしくなったじゃないですか。素直でいい子じゃ、最高位は極められないんですよ」
つまり、問題はここから。琴ノ若は大丈夫か?
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