『週刊文春』がダウンタウン・松本人志さんの性加害疑惑を報じる記事を掲載したことで、芸能界がざわついている。当事者である松本さんは芸能活動を休止し、発行元である文藝春秋に対して、名誉毀損による損害賠償(請求額は5億5000万円)と謝罪広告の掲載などを求めて提訴した。
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今回の件で俺が気になっているのは、このタイミングでスキャンダルが持ち上がったこと。もしかしたら、松本さんが一線を退くことで得をする人物の仕業という可能性も考えられる。それは意外にも身内かもしれない。
今の吉本興業の上層部にいるのは、ダウンタウンと関係の深い人間で占められているという。その派閥に入れなくて出世を逃した〝反ダウンタウン派〟がクーデターを起こそうとしていて、その一環で情報をリークしたとしても不思議ではない。ダウンタウンと最も関係が深かったといわれる元会長の大﨑洋さんが、昨年4月に退任したのも何か関係があるんじゃないか。
吉本興業では、過去にもトップを取った芸人がスキャンダルで追いやられてしまうことがあった。島田紳助さんが引退したときも、似たような流れだったよね。
本当にクーデターだとして、仮にそれが成功したとしても、ダウンタウンは大丈夫だろうね。吉本を辞めても2人で新しく事務所を作ればいいし、オリジナルのバラエティー番組を作っている動画配信サイトやユーチューブなど、テレビ出演が減ったとしても活躍できるメディアはいくらでもある。大きなスポンサーは離れるかもしれないけど、事務所に持っていかれない分、収入もアップする。「マツモト、アウト〜」とはならないよ。
ゴシップサイトと同様に
それと今回の件で注目したいのは、損害賠償額だよ。日本は名誉毀損の賠償額が低くて、『週刊文春』が裁判で負けたとしても、そんなに痛手にはならない。むしろ雑誌の売り上げのほうが大きいので、「書いたもの勝ち」になってしまうことも指摘される。そこに踏み込んで、5億5000万円という高額の賠償金を勝ち取ることができるのか。
これで思い出したのが、ハルク・ホーガンのセックス・スキャンダルだよ。2012年に、ホーガンの不倫現場での情事を盗撮した動画を、ゴシップサイト『ゴーカー(Gawker)』が流出させた。ホーガンはプライバシー侵害として、1億ドルの損害賠償を求めて提訴。結果はホーガン側が全面勝訴となり、裁判所はゴーカーに1億4000万ドルの損害賠償を支払うことを命じた。そして、賠償金が払えなくなったゴーカーは倒産することになった。この裁判には、かつてゴーカーにゴシップをバラまかれたIT業界の大物がホーガンのバックにつき、資金援助をしていたことも明らかになっている。
松本さんの裁判も、この流れになるかもしれない。『週刊文春』に恨みをもった金持ちが松本さんのバックについて応援するとか。勝てば画期的な判例として、歴史を塗り替えることになるから、興味のある援軍はいくらでもいると思う。
判決が出るのはまだまだ先だが、勝訴となったら松本さんは黄色いパンツを穿いて、日本のハルク・ホーガンとしてTシャツを破るパフォーマンスを見せてほしいね。
蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。
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