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次に来る大地震の震源は“中央構造線断層帯”!? 1000キロに及ぶ巨大断層が割れる!

ManuMata
(画像)ManuMata/Shutterstock

能登半島での避難生活は、寒さとボランティア不足で混迷を極めているが、次なる大地震の震源として危険視されているのが「中央構造線断層帯」の存在。長さ1000キロを超えるこの不気味な活断層の〝胎動〟は、巨大地震を続発させる可能性が高いのである。

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能登半島地震の次はどこか。これは地震の活動期を迎えた日本に住む人の多くが抱いている疑問だろうが、北陸の被災者たちには酷な予測が浮上している。

科学ライターがこう話す。

「今回の能登半島地震の震源は、北東から南西に延びる長さ150キロの逆断層です。能登半島の下を走る活断層はほとんどが地震エネルギーを放出したが、実は断層の北側にあたる佐渡の近くは滑っていない。つまり、活断層の割れ残り(=地震エネルギーが放出されなかったエリア)があり、近く(M)マグニチュード7クラスの地震が発生する可能性があるのです」

簡単に言えば、今後大きな誘発地震が起きる可能性が指摘されているのだが、同地震が発生した場合、3メートルを超える津波が能登半島地震よりも早く新潟県沿岸部に押し寄せるという。佐渡南部、そして海を隔てた上越、直江津、柏崎あたりが、最も津波の影響を受けるとみられているのだ。

防災ジャーナリストの渡辺実氏が語る。

「震度7を経験したばかりなのにまた揺れるのかと言われそうですが、1カ月や2カ月を経過した頃にも用心は必要。地震の活動期なので、緊張感をもって備えるべきなのです」

もっとも、能登以外に揺れそうな地域、断層は多数存在する。その中でも〝危険度最高クラス〟とみられているのが、日本最大の活断層、中央構造線断層帯(=以下、中央構造線)なのだ。

断層が連鎖して動く可能性も…

この断層帯は近畿地方の金剛山地の東側から淡路島南部の海域を経て、四国北部を東西に横断し、伊予灘、別府を経て湯布院に達する長さ444キロの活断層。一説にはその東端は関東に達し、太平洋に抜けるともいわれている。これが事実ならおよそ1000キロに及ぶ巨大断層となるが、関東地方は富士山などの火山灰によるローム層に覆われ、全容が把握できていないのである。

武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏が言う。

「中央構造線は今、活性化していると思います。熊本地震を起こしたのは同県にある布田川―日奈久断層ですが、発生時には西日本を貫く中央構造線と連動する可能性も高かったのです」

島村氏の言う通り、この2つの断層は連鎖して動く可能性が指摘されてきたが、熊本地震の際には〝割れ残り〟があり、連動しなかった。だが、そのためか布田川―日奈久断層の一部はエネルギーをため込んだままとみられ、次に地震が発生したときには中央構造線が連動。広範囲に被害が及ぶといわれているのだ。

しかも、これに加えて中央構造線を震源とする地震は、恐ろしいリスクも抱えている。

「この巨大断層は四国・愛媛県を横断しているが、同県にある伊方原発の600メートル沖合を走っていることが分かっている。熊本地震が発生した16年には国会でも取り上げられたが、四国電力はそれまで一切調査を行っていなかったのです」(科学誌編集者)

ちなみに、能登半島地震で5メートルもの津波が押し寄せた石川県珠洲市は以前、原発の建設予定地だったが、住民らの猛反対で計画が凍結。この判断がなければ、「福島原発事故以上の大災害になっていた」(地元紙記者)ともいわれているのだ。

「そのため、能登半島地震が起きた今では伊方原発に大きな注目が集まっている。同原発は北側を長さ400キロの中央構造線に、南側を巨大地震の発生が秒読みといわれる南海トラフに挟まれ、逃げ場がない状態。まさに地震の火薬庫上に立っているとも言え、その行方が危ぶまれているのです」(同)

複数の直下型地震が誘発していく!?

また、中央構造線を震源とする地震は、直下型地震を誘発することでも知られている。そのいい例が、1596年9月1日に起きた慶長伊予地震(M7)だ。この大地震は愛媛県を震源に発生したが、3日後には対岸の大分県で慶長豊後地震(M7)が発生。さらにその翌日には、遠く離れた京都で慶長伏見地震(M7.5)が発生しているのだ。

「3つの地震は総じて『慶長大地震』と呼ばれるが、最初の地震が中央構造線を揺れ動かし、次々と直下型地震を誘発した。また、恐ろしいのはこれだけでなく、その9年後の1605年に起きた南海トラフ地震――慶長地震(M7.9)をも誘発した可能性があるのです」(前出・科学ライター)

この地震については詳細な記録は残されていないものの、八丈島や紀伊半島、高知など太平洋側の広い範囲に津波が到達し、数千人に及ぶ犠牲者が出たという。また、震源についても諸説渦巻いているが、前出の3つの地震の誘発を唱える研究者もいるほどだ。

科学誌の編集者が話す。

「南海トラフ地震の前には、複数の内陸直下型地震が発生するといわれているが、その意味では中央構造線で起きた直下型地震が後に南海トラフ地震を引き起こす可能性も否めない。直下型だった熊本地震から8年が経つものの、これが原因の一つとなる可能性もいまだ残っているのです」

また、前出の島村氏もこう続ける。

「関東ローム層のおかげで確かなことは言えないが、中央構造線が関東に達しているとする説はかなり有力。1月28日には東京湾を震源とするM4.8の地震が起きたが、もしも都心の地下を走っていれば、首都直下地震を引き起こし、甚大な被害をもたらすことも絵空事とは言えないのです」

もはや、日本列島は何が起きても不思議ではない。

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