(画像)Have a nice day Photo/Shutterstock
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トラック運転手の時間外労働激減で離職者相次ぎ…配送料値上げや遅延も深刻に

4月からトラック運転手の時間外労働に上限規制が適用される『物流の2024年問題』では、物流・運送の停滞が懸念され、一般消費者の生活にも大きな影響を及ぼすことは避けられそうにない。


「働き方改革関連法により、トラック運転手の残業時間は年960時間の上限が課せられる。時間外労働が激減することによって、ドライバーは収入減となりますから離職者が相次ぐことも危惧されている」(物流ジャーナリスト)


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トラック運転手の平均年収は全産業と比べ、約19〜59万円低いとされる。全日本トラック協会によると、960時間の時間外労働を超えるドライバーがいると回答した事業者は、約29%(22年10月時点)だった。


「上限規制が適用されれば、対象ドライバーの平均年収は最高で62万円減の試算もある。全国的にドライバー不足な上、高齢化も進んでいる。収入が減れば、さらにドライバー不足は深刻になりますよ」(同)

やむを得ない配送料値上げ…

厚生労働省の調査によると、21年度に新規制で総拘束時間の上限となる年間3300時間を超えて働いていたドライバーは、宅配や長距離輸送などのトラック事業者全体で21.7%、長距離に限れば31.8%だった。

「4月以降は2〜3割の配送に支障をきたすとみられています。年間960時間の時間外労働は1カ月平均では80時間が上限になる。これでは商品や荷物は期日通りに届きません。東北地方では他と比べてすでにドライバー不足に悩まされている。30年には約4割以上の商品や荷物の遅延が出てくるでしょう」(同)


時間外労働の規制スタートでこれまで当たり前だった『翌日配送』ができないどころか、配送料金の値上げも必至。すでに佐川急便は従業員の待遇改善のため、4月から平均7%の運賃値上げを発表している。


「ネット通販は留守だと再配達になる。再配達率は十数%以上。これは大きな負担です。置き配や宅配ロッカーの活用を促すなど、2024年問題は消費者の協力も必要です」(宅配業者)


能登半島地震を見ても分かるように物流は生命線だ。