(画像)Krasula/Shutterstock
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避難所でのウイルス感染に要注意!手洗い徹底…予防して集団感染を防ぐ

能登半島地震の被災地では、衛生状況悪化によるノロウイルスの集団感染が懸念されている。全国各地でも、ノロウイルスが原因による感染性胃腸炎患者が急増しているからだ。


感染性胃腸炎は、細菌やウイルスなどの病原体による感染症で、毎年秋から冬にかけて流行することから〝冬の感染症〟と呼ばれている。原因となる病原体はノロウイルス、ロタウイルスの他、細菌や寄生虫だ。


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「症状は病原体によって異なりますが、潜伏期間は1〜3日程度。ノロウイルスによる胃腸炎の主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、発熱、腹痛などです。小児には嘔吐、成人では下痢が多い。有症期間は平均24〜48時間です。ロタウイルスによる胃腸炎は嘔吐、下痢、発熱が見られ、乳児では痙攣を起こすこともある。有症期間は平均5〜6日とノロウイルスより長い。ただ、感染しても発症しない場合もあって、軽い症状の人もいます」(医療ライター)


感染経路は、病原体が付着した手で口に触れることによる接触感染、汚染された食品を食べたことによる経口感染がある。能登半島地震では、生活用水がまだ不十分なため、衛生状況が悪化したことによるノロウイルスなどの集団発生が懸念されているのだ。


「2011年3月に起きた東日本大震災でも、避難所ではノロウイルスの集団感染があったんです。避難所では多くの人が一時的に生活を共にする。ノロウイルスは便などから感染するので、トイレの清掃が行き届いていないと、人から人へ感染します」(同)

日々の予防対策が大事

能登半島地震の避難者数は約1万5600人(1月21日時点)。被災地には全国各地から災害時を想定した移動式水洗トイレ『トイレトレーラー』も続々と届いているが、被災地全域に行き渡っていないだけに、予断を許さない状況だ。

「すでにノロウイルスを含む感染性胃腸炎は、全国的に広がっています。国立感染症研究所の昨年末のデータでは全国の定点当たりの報告数の平均は6.52で7週連続増加。東京都、香川県、大分県に至っては報告数が10を超えていたほどです。1月1週目は全国平均で2.28と減っていますが、これは年始で医療機関が休みだったことも考えられます」(東京都江戸川区の内科クリニック院長)


ちなみに、石川県も4.00と前週より減っている。


感染性胃腸炎には特効薬はなく、症状に応じた対症療法となる。つまり、ノロウイルスなどに罹らないためには、日頃からの予防が大切なのだ。


「ロタウイルスは、乳幼児を中心に予防接種ワクチンがありますが、ノロウイルスは予防接種ワクチンがない。予防のためにトイレの後や調理、食事の前には石鹸と流水でしっかりと手を洗う。便や嘔吐物を処理する場合は使い捨て手袋、マスク、エプロンを着用する。処理後は石鹸と流水で十分に手洗いする。カキなどの二枚貝を調理する際は中心部までしっかりと過熱することです」(ヘルスケアプランナー)


手洗いなどは新型コロナやインフルエンザの予防対策にもつながる。