監督/クレイグ・ギレスピー
出演/ポール・ダノ、ピート・デヴィッドソン、ヴィンセント・ドノフリオ、アメリカ・フェレーラ、ニック・オファーマン、アンソニー・ラモス、セバスチャン・スタン、シャイリーン・ウッドリー and セス・ローゲン
配給/キノフィルムズ
今年から新NISA制度とやらがスタートし、やにわに投資への関心が高まる2024年。何事も日本の3歩先を行くアメリカで、実際に起きたマネー狂騒の内幕が映画化。タイムリーな主題なのに、評価を星一つにした理由は、内容ではありません。
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世の中には3種類の人がいると考えます。1つは投資や利殖に関心がある人。2つは興味がない人。3つめは興味がないどころか、忌み嫌う人。
何を隠そう、自分は3番目。収入というものは己の労働の対価として得られるもの。労働せずに金を増やすという発想がゼロです。
「それはお前が苦労していないからだ」と言われそうですが、実際、今の我が家の経済状況はというと、大きな連載は次々と終わりまして、残る連載も少なくなりました。それに伴い、生活の質を下げることにも抵抗感はありません。
そんな3番目の人間からすると、株の売り買いが続くストーリーは、かなりツラい1時間40分となりました。
ただ、世の中の多くの方は、大なり小なり関心がある層でしょうから、強欲なウォール街の大富豪たちをギャフンと言わせた「個人投資家の乱」の顛末で溜飲を下げていただきたい。
これが本来の資本主義のあり方
しかし、投資アレルギーの自分でも、若干納得できるところがありました。「ローリング・キティ」とSNS上の動画配信で名乗る主人公が単なる金儲け主義ではなく、自分が本当に応援したい時代遅れのゲームソフト販売会社に全財産の5万ドルをつぎ込み、たとえ窮地に追い込まれても決して株を手放さないどころか、買い増していったこと。それは本来の資本主義のあり方であろうと感情移入ができました。
その点で本作は、凡百の経済学講義より、はるかに有用な映画ではないか、とフォローしておきたいと思います。
さて話は戻りますが、自分は家庭内経済が縮小しても「なんとかなると思う派」なんですよね。車はとっくに軽自動車に買い替えていますし、最近の旅行先はもっぱら首都圏内です。
先日、旅行先で軽自動車をレンタルして一日中乗り回した後、満タンにして返却したら、ガソリン代が300円。どんだけ燃費がいいんだと、うれしかったですね。
そんなささやかな喜びに浸る日々ですから、利殖に走ろうなどとは夢にも思いませんし、下手に走ったら老後の蓄えまでむしり取られるのがオチ。このまま堂々と先細っていく所存です。
やくみつる
漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。
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