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首都直下型地震Xデー迫る!「能登半島地震」で完全に活動期に入った日本列島

ManuMata
(画像)ManuMata/Shutterstock

能登半島地震(M)マグニチュード7.6発生から半月以上が経過したが、被災地では極寒の避難生活を強いられ、感染症を患ったり、災害関連死する人が増えてるという。そうした中、能登と同じタイプである「首都直下地震」に飛び火する可能性が指摘されて始めている…。

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「昨年5月の地震(震度6強)以来、家を修復してきたのに、再び大地震に見舞われ全壊した。今は後片付けをする気力もありません」(石川県輪島市の高齢主婦)

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過疎化著しい能登半島で2024年元日に発生した巨大地震は、被災者に高齢者の割合が高く、着の身着のまま薬も持たずに避難してきたことで持病が悪化。自らも避難生活を送りながら介護にあたる人々を、疲弊させているという。

「使える水や設備が整っていないため、トイレ介護や後始末には1日かかります。避難所を運営する方々も疲れきっているため、まるで避難所は老人ホームのようです」(同七尾市の介護士)

物資が不足し清潔なケアができないためか、災害関連死も発生している悲惨さだ。しかも、寒さと長引く避難生活の疲れから免疫力が低下。新型コロナウイルスやインフルエンザ、ノロウイルスなどの感染症が避難所に蔓延し、深刻な状況を迎えているのだ。

そうした一方で、ここにきて注視されている事象がある。それが能登半島で発生した巨大地震が今後、首都圏に飛び火する可能性がないかということなのだ。武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏が言う。

「フィリピン海プレートの活性化により、昨年暮れにはミンダナオ島沖でM7.6の大地震が発生。また近年、日本周辺が地震の活動期に入り、いつ、どこで地震が起きても不思議ではない状況です。能登半島地震に続く直下型が起こる可能性も、十分あると思います」

関東でも同じ可能性が高い

先週もお伝えしたが、日本列島は太平洋、フィリピン海、ユーラシア、北米と名の付く4つのプレートにまたがっており、近年は前者3つが活発化しているという。能登半島で起きた地震もこのプレートの活性化と大量の地下水が断層に流れ込み、ズレ動いたことが原因とみられているが、実は関東でも同じことが起きる可能性が高いのである。

「その顕著な例が、今から100年前の1923年に発生した関東大震災(最大震度6強、M7.9)です。この大正時代に起きた大地震はフィリピン海プレートが陸(北米プレート)側に沈み込む相模トラフを震源とした直下型だったが、近年、その発生が危ぶまれているのです」(地震研究者)

関東大震災の発生は現在「200年周期」というのが定説となっているが、実は大正時代に起きた地震の震源地からも程近い神奈川県三浦半島では、3〜4年前から異臭騒ぎが発生。さらにその後、千葉県内でも同じ現象が起きている。

科学ライターが話す。

「横浜市の調査によれば、ガソリンなどに含まれるイソペンタンやペンタン、ブタンが大気から高濃度で検出されたという。つまり、地中の岩盤が擦れ合うときに発生するガスだと判明したのです。千葉の異臭に関する発表はないが、三浦半島には三浦半島断層群という活断層が存在する。この断層で、異臭が発生する何らかの出来事が起きているのは確実なのです」

また、科学専門誌の編集者はこう語る。

「三浦半島沖を走る相模トラフはフィリピン海と北米プレートの境界部であると同時に、活発化著しい太平洋とユーラシアプレートに南北から押され、まさに4つのプレートがひしめく境界部であると言える。そのため、活動期に入った今ではいつ地震が起きても不思議はないといわれているのです。しかも、首都直下地震が遠くない未来に起こるとの根拠は他にも存在する。それが1000年前に起きた東日本大震災なのです」

これが“首都直下型”だったら…

この編集者が指摘するのは869年に福島県沖で発生した貞観地震(M8.3)。この巨大地震では大津波が陸に押し寄せ、約1000人が死亡したと伝えられるが、その9年後に首都直下型の相模武蔵地震(M7.4)が起きているのだ。

「つまり、割れ残り(地震エネルギーが放出しきれなかったエリア)が後にズレ動いて直下地震が発生した。同じことが起きる可能性も否めないのです」(同)

もっとも、気になるのは首都直下地震が起きた場合、どんな被害が及ぶのかということだろう。能登半島地震では地震に伴うさまざまな災害が発生したが、これらが数倍の規模で発生するとみられているのである。

「一昨年、東京都が見直した被害想定によれば都心南部でM7.3の直下型地震が発生した場合、23区の6割が震度6以上、うち11の区が震度7を記録。死者6000人以上、負傷者は9万3000人を超え、避難者は299万人に達する見込みです」(前出・科学ライター)

また、建物は8万2200棟が倒壊、火災の発生で約11万8700棟が焼失し、広範囲で断水、停電が起きるという。沿岸部では能登半島で見られた海底の隆起も発生。埋め立て地が液状化し道路が寸断されることで東京、神奈川のあちこちで孤立するエリアが発生するとみられているのだ。

防災ライターの渡辺実氏が言う。

「三浦半島などは陸や海からの上陸が困難となり、空路でしかアクセスできなくなるはず。政府や関東の自治体は能登半島地震の状況を踏まえ、庶民や行政の価値観をグレードアップさせるような避難・避難所対策を構築してほしい」

関東圏の人々は、今こそ生き残るための備えをするべきだろう。

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